天才建築家が率いるBIGのビックリ建築 10選
キャピタ・スプリング(シンガポール・シンガポール)
ビルの間から緑が覗く、バイオフィリックなオフィスビル シンガポールの金融街の中心に立つ、内部に8万本以上の植物が育つバイオフィリックな高層ビル。建物が密集していながら、同時に緑も豊かであるシンガポールの街のユニークな特徴を、BIGは緑を垂直に繋げて表現した。まっすぐに伸びる外装材を部分的に歪ませ、内部に植えられた植物が外から見られるようにデザインした。敷地面積の140%に相当する緑地が確保され、地域の人の憩いの場としても親しまれている。
VMハウス(デンマーク・コペンハーゲン)
トゲのように尖ったテラスが、建物から突き出る集合住宅 2005年に手がけた2棟の集合住宅。80種類以上のユニットからなる全230戸の大きな集合住宅だが、建物をV字型、M字型に開くことで、住民たちのプライバシーや採光、眺望を同時に確保した。Mハウスは、ル・コルビュジエのユニテ・ダビタシオンをヒントに全ての廊下から光が取り込まれるように設計。バルコニー付きとしてプランしたVハウスは、バルコニーをカンチレバー構造とすることで、快適な外部空間を作り出し、近隣との繋がりが生まれるようにデザイン。一見奇抜な意匠ながら、住む人に心地よい光とコミュニティをもたらしている。
スルーズハウス(オランダ・アムステルダム)
街と運河の景色を取り込む、アムステルダムの水上住宅 アムステルダムの北側、アイ湾に立つスルーズハウス。この集合住宅は密集した街と広い運河の狭間という、特殊な環境を活かして設計された。基本となるのは、中庭型の建築。そこに水上生活の概念を取り込んでいる。街に面した側から見るとグランドレベルから建物が緩やかに離れていくような設計で、街から自然へとつながる入り口のよう。一方、湾に面した側は水面に対して大きく開口し、運河の水を中庭に引き入れながら、建物内部にも日差しや眺望をもたらす効果が。見る角度によって全く違った表情を見せるのが特徴だ。
ティルピッツ博物館(デンマーク・ブラーバンド)
砂丘に埋まった外から見えない博物館 砂丘を切り裂くように建てられた、一目では建築とは分からない博物館。BIGは第二次世界大戦中にドイツ軍が建設した掩体壕の横の砂丘に新たに通路を切り出し、地中に4つのギャラリー空間を設計した。通路は高さ約6メートルの窓を擁し、地下の展示スペースに自然光が差し込むように工夫されている。「ティルピッツの建築は、第二次世界大戦の地下壕に対するアンチテーゼ」と語るビャルケ。かつての掩体壕の重く閉ざされた佇まいとは対照的な、明るく開放的な空間が広がっている。