IoTとビジネスの可能性を考える ITビジネスアナリスト・大元隆志
「Internet of Things(IoT)」直訳すれば「モノのインターネット」という言葉が、ここ1~2年で大きな注目を集めるようになりました。IDC Japanによれば日本国内のIoT市場だけでも2014年の市場規模は9兆3645億円。今後、年率平均11.9%で成長し、2019年に16兆4221億円まで拡大するとのことです。 [ざっくり理解]物のインターネット IoT(Internet of Things)とは? 最近注目を集めだしたにも関わらず、2014年時点で9兆円の市場が形成されている「IoT」。「IoT」とは一体なんなのでしょうか? 筆者も2013年7月に「ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦」を出版し、次に注目されるのはこの「IoT」だと述べていました。しかし、この「IoT」とは何かを説明しろと言われると、本書執筆時の2012年とは大きく状況が一変し、非常に難しい状況になっています。 「IoTとは何か」を説明することは、「インターネットとは何か」を説明することと良く似ています。インターネットとは、本来ARPANETを前身とする、コンピュータとコンピュータが世界規模で接続されているネットワークですが、30億人が利用するようになった現在では、ECサイトで生計を立てるための物であったり、情報収集する物であったり、あるいは友達と連絡するための手段と考える人もいるでしょう。親からiPadを渡されて2歳の子がYouTubeを楽しめる時代です。この2歳の子は、そもそもインターネットという存在を意識するでしょうか? 多くの人がインターネットという言葉に違う物を思い浮かべますが、恐らくはどれも正解です。インターネットの関連する領域が大きく広がったことで、全ての人々を納得させる一つの定義を導き出すのは困難です。 同様に「IoT」も、関連する領域が広がり、業界や人によって見解が異なっています。そのため、ある人は「IoTは単なるバズワード(流行言葉)」と言い、ある人は「IoT市場は既に出来ている」とも言います。なぜ、このような状況になっているのでしょうか? 筆者の私見となりますが、「IoT」という解釈には大きく3段階に分けて変化がありました。順を追ってみてみましょう。