井上尚弥vs比嘉大吾が2.11「LEGEND」で正式決定…近未来の“世界前哨戦”となる”ガチスパー”の行方は?
その会見では「バンタム級にすごい人?いますね。でも今はまだ対戦はイメージできない。試合を数試合やって練習を重ねてから」と対井上尚弥戦には消極的だった。 比嘉は数年前に井上尚弥と複数回のスパーリングを行っており、その際、歯が立たなかった。強さを肌で知っているからこそ豪語はしなかった。しかし、比嘉とコンビを組む野木丈司トレーナーは「(井上尚弥が)バンタムに留まるなら、どういう風に戦うかは頭の中で考えている。3、4戦やってみて、少なくとも世界タイトルを持っていないとできない。それが(挑戦)資格」という夢プランを明らかにしていた。まだ比嘉はバンタムに転向して2戦しかしておらず、井上尚弥への挑戦資格となる世界のベルトも腰に巻いていない。 だが、将来的に実現の可能性のある近未来カード。 今回、比嘉が「世界前哨戦として戦う」と決意表明したのも納得である。昨年10月の日本バンタム級13位の堤聖也(角海老宝石)との移籍後初戦は積極性に欠き判定ドローに終わり比嘉らしさを出せなかったが、地域タイトルを奪取した大晦日の試合では、本来の野性味を取り戻しつつあった。今回の強気のコメントの裏にはバンタム級でやっていく手ごたえもあるのだろう。 試合は3分×3ラウンドのエキシビションマッチ。実際のスパーリングで使用する重いグローブが使われ勝敗はつかない。しかし、井上尚弥は会見で「エキシビションだが、客を入れる限り、しっかりとガチでいかせていただきます」と、不気味な宣言をしていた。 井上尚弥はヘッドギアを使用した実際のスパーリングでも、世界ランカークラスのパートナーをバンバン倒し、途中から練習にならなくなることで知られる。しかも、今回のエキシビションマッチでは、両陣営同意のもと、ヘッドギアを装着しないラウンドも作られる方向だと聞く。勝敗はつかないが、ガチスパーであれば、当然、ダウンシーンが出てくる可能性はある。今回のイベントはJBC(日本ボクシングコミッション)が管轄しない「非公式試合」。ただ東日本ボクシング協会が“大会協力”している以上、運営側には安全性、健康面の確保に万全の態勢を敷いてもらわねば困るが、レフェリーが危険だと判断して事実上のTKO決着となる展開もなくはない。 井上尚弥が、未来の挑戦者候補に“モンスター”の厳しい洗礼を浴びせて現時点での力の差を見せつける可能性も十分に考えられる。 果たしてどんな3分×3ラウンドになるのか。ファンの想像を掻き立てるには十分の「LEGEND」のメインにふさわしい好カードが組まれた。(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)