存続危うい“地域交通”を活性化!「交通空白」 解消に向けて国土交通省がおこなっている取り組みを解説
◆「公共ライドシェア」のメリット
交通空白の解消に向けた取り組みの1つに、「公共ライドシェア、日本版ライドシェア」があります。ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶサービスのことです。本来、人を有料で運ぶ場合はタクシードライバーのように第2種運転免許が必要ですが、ライドシェアのドライバーは、第2種運転免許を持たずに有料で人を運ぶサービスを提供できるのが大きな特徴です。 公共ライドシェアは、交通が著しく不便な地域や介護が必要な方など向けに、市町村やNPO法人などが自家用車を活用して提供する有料の旅客運送です。既に活用している地域もあり、熊本県の水上村では村が主体となって2024年4月より公共ライドシェアを導入。村内の路線バスが通っていない地区と村外にある公立病院を結び、郵便局やスーパーなど18ヵ所に停留所を設定して運行しています。実施時間帯は月曜と木曜(祝祭日を除く)1日3往復で運賃は500円です。 また、石川県小松市が主体となり運行している公共ライドシェアは、実施日が木曜~土曜の午後5時~深夜0時と夜間に運行していますが、この理由として、板垣さんは「日常的に夜間の移動に不便さを感じている住民や、北陸新幹線で小松市を訪れた観光客などの移動の利便性向上。さらには、能登半島地震で被災された二次避難者の移動を確保するために導入されました」と説明。公共ライドシェアの導入は、地元住民だけでなく、観光客にとっても大きなメリットになります。 ほかにも、通学定期券を発行して子どもたちの通学に対応するライドシェアなど、地域の実情にあわせて600以上の市町村でバラエティに富んだライドシェアが展開されています。
◆柔軟な対応で「日本版ライドシェア」を導入
一方、日本版ライドシェアは、タクシー事業者の管理のもと、一般ドライバーが自家用車などを使って有料で人を運ぶサービスです。タクシー不足の地域、時期、時間帯に提供されます。鳥取県では昨年、大型イベント開催の伴い、その期間中はタクシー車両の不足が見込まれることから、鳥取県の申し出により、日本版ライドシェア「とっとライドシェア(TottoRideShare)」を導入しました。 なお、配車アプリを利用すれば、タクシーのように無線機を設置したり、お釣りの準備をしなくてもタクシー業務が可能となりますが、配車アプリの導入に負担を感じる事業者に向けて、電話を使った日本版ライドシェアを導入している地域もあります。 また、板垣さんは「国土交通省では交通空白解消に向けて、公共ライドシェアや日本版ライドシェアをはじめとした地域の実情に応じた地域交通の導入を積極的に進めています。2024年11月には『交通空白』解消・官民連携プラットフォームを立ち上げ、課題を抱えた自治体や交通事業者とソリューションを持った企業とのマッチングを進め、一過性ではない実効性のある取り組みが各地域で進められるように後押しをしていく予定です」と力を込めます。 そして最後に「現在、会員となる自治体や交通事業者、ソリューション企業を公募しています。地域交通は地方創生の基盤です。まずは地域交通の現状を知り、継続的に利用できるサービスとして定着するよう、ご協力をお願いします」と呼びかけました。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「交通空白解消に向けた取組」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。今回は村上が“日本版ライドシェア”、杉浦は“公共ライドシェア”と2つのポイントを挙げ、杉浦は「『交通空白』解消に向けたこれらの取り組みは大事ですから」とコメントしました。 (TOKYO FM「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」1月5日(日)放送より)