存続危うい“地域交通”を活性化!「交通空白」 解消に向けて国土交通省がおこなっている取り組みを解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。 2025年1月5日(日)の放送テーマは、「みんなで守る地域交通!“交通空白”の解消に向けて」。国土交通省 総合政策局 地域交通課の板垣友圭梨(いたがき・ゆかり)さんから、地域交通の現状、課題解決に向けた取り組みについて伺いました。
◆地方が抱える課題「交通空白」を考える
電車やバス、タクシーなどの地域交通は、地元の人々にとって“地域の足”として欠かせない存在です。ところが今、地域交通は存続の危機に立たされています。 日本は人口も働き手も年々減少していて、それに伴い路線バスや地域鉄道、タクシーの利用者も徐々に減少。その結果、経営が悪化し、赤字路線は廃止せざるを得ない状況となっています。現在、地域の路線バスや地域鉄道の事業者の約9割は赤字経営です。 地域によって事情はさまざまですが、国土交通省ではバス停や駅が近くになく、タクシーなどが30分以内に配車されない地域や、運行本数が少なくて地域交通の使い勝手が悪い地域などを「交通空白」と呼び、「国土交通省『交通空白』解消本部」を設置して、これらに課題認識を持っている自治体に向けた取り組みを進めています。 一方、日本は地方の人口減少を解消して日本全体の活力を上げることを目的としたさまざまな取り組みを進めています。そのうちの1つがインバウンド対策ですが、板垣さんは「外国人観光客の方々に、大都市圏だけでなく地方も観光していただくことで地域経済を活性化し、地域を元気にするのが目的ですが、交通空白がありますと、空港や駅に着いた後、観光に必要な移動の足が確保できないため、観光客を誘い込むことが難しくなります」と解説します。 実際、外国人観光客の多くは、東京、大阪、名古屋の三大都市圏を観光する方が多く、地方を訪れる人はまだまだ少ない状況です。さらに、私たちが国内旅行をする場合でも、交通空白によって地域観光の足が遠のく可能性があります。 新しい地方経済を創生するため、日本は工場の誘致なども積極的に進めていますが、地域交通が整っていないと不具合が生じることもあります。つまり、地方を元気にするためには移動手段の確保は欠かせません。石破総理も2024年10月の所信表明演説で「地域交通は地方創生の基盤です。全国で『交通空白』の解消に向け、移動の足の確保を強力に進めます」と発言していることから、現在、交通空白を解消する取り組みが積極的に進められています。