じつに、5000個もある「太陽系外の惑星」。そこに生命の存在は見出せるか…認めざる得なかった「地球の生命システム」の独自性と多様性
生命を宿す太陽系外惑星は存在するか
5000個を超す系外惑星の中に、生命を宿す惑星があるのでしょうか。まずは単純に、恒星の明るさと、惑星との距離から、ハビタブルゾーンにあるかどうかが議論され、適合する惑星が「ハビタブル惑星」の候補としてリストアップされました。ただし、これはあくまで候補です。実際に生命がいるかどうかは、大気の成分がヒントになります。 大気の成分で最も注目すべきなのが、酸素とオゾンです。 酸素は非常に反応性が高く、大気中で安定に存在しにくい分子です。もし存在するなら、地球のように、酸素をたえず発生しつづけるシステム、たとえば光合成生物が存在していることが強く示唆されます。つまり、系外惑星の大気に酸素が存在すれば、酸素発生型の光合成生物がいることが推測できるのです。このような生物の存在を示唆する分子をバイオマーカーと呼びます。 そして大気中の酸素濃度が高まると、オゾンが生成します。オゾンの濃度は低いのですが、酸素よりも検出が容易である点がメリットで、オゾンは優れたバイオマーカーです。 また、地球の光合成生物は、クロロフィルという色素を用いて光合成を行っていますが、このクロロフィルも優れたバイオマーカーになり得ます。どういうことでしょうか。
光合成で知る生命の痕跡
地球の光合成生物は、クロロフィルという色素を用いて光合成を行っています。つまりクロロフィルによって光合成に使われた波長の分だけ、太陽光が減るわけです。地表の多くを覆っている植物のクロロフィルは、赤い可視光を強く吸収しますが、それより波長の長い赤外線は吸収しません。 そのため地球外から見ると、反射光の赤い可視光と赤外線のあいだにギャップが生じるわけです。これを「レッドエッジ」と呼びます(図「レッドエッジ」)。系外惑星でもこれが見られれば、その惑星の陸地は地球の植物のような生物で覆われている可能性が考えられます。 ただし、中心にある恒星が太陽よりも小さいと、赤外線をより強く出していて、それに対応して恒星のまわりの惑星で赤外線を用いた光合成が発達している可能性もあります。 地球の場合、陸地がこのように光合成生物で覆われたのは、地球史46億年のうち、最近の4億年のみです。この方法で見つかるハビタブル惑星も、生物進化がかなり進んでいる可能性が高いといえるでしょう。