じつに、5000個もある「太陽系外の惑星」。そこに生命の存在は見出せるか…認めざる得なかった「地球の生命システム」の独自性と多様性
地球の進化と生物の進化のシンクロ
さて、ここで注目されるのが全球凍結の時期です。1回目が23億年~22億2000万年前、2回目が7億3000万年~7億年前、3回目は6億6500万年~6億3500万年前とされています。これらの少しあとに、生物進化の大事件とされる真核生物の誕生(20億年前頃)や多細胞生物が急増したアヴァロンの爆発(5億7000万年前)が起きているようにみえるのです。 さきほど、個体数が少ないときに変異が集団に広まりやすいことを述べましたが、実際、まさに地球環境が激変したあとに、そのような生物の大進化が起きた可能性が考えられます。恐竜を滅ぼした隕石衝突後、絶滅を免れた哺乳類が一気に進化したのも、衝突により哺乳類も個体数を劇的に減らしたためでしょう。これも、地球の進化と生物の進化がシンクロしている例といえるでしょう。
アストロバイオロジーからみた生物進化…地球外はどうか
次に「地球外」に視点を移して、アストロバイオロジーと生物進化について考えます。以前の記事で、太陽系の生命探査によって生命の起源へのヒントが得られる可能性があることを述べました。では、生物進化についてはヒントが得られそうでしょうか。 太陽系で生命が存在するかもしれない天体は、火星、エウロパ、エンケラドゥス、タイタンなどがいまのところ考えられますが、当面の探査の対象となる生物は、微生物と考えられます。 もちろん微生物も進化するので、生命が検出され、その多様性が解析できれば地球外での生物進化の議論ができるでしょう。 しかし、多細胞の大型生物や、知的生物が存在している可能性についてはあまり期待されていません。 宇宙に生命の痕跡を探す旅……地球外生命から考える地球の生命シリーズ第1回は、こちら〈地球以外に存在するのか…「地球外生命」への大きすぎた期待と、じつに意外だった「ヴァイキング探査の結果」〉
アストロバイオロジーからみた生物進化 「系外惑星編」
太陽系外にある恒星を周回する惑星が初めて見つかったのは、1995年のことでした。発見したのはスイスの天文学者ミシェル・マイヨール(1942~)と、その学生のディディエ・ケロー(1966~)で、2人はこの功績で2019年にノーベル物理学賞を受賞しました。 系外惑星発見の難しさは、まず、明るい恒星のすぐ近くにある、みずからは光らない暗い惑星をとらえなければならないところにあります。そこで、間接的に見つける方法がおもに開発されました。 恒星も惑星からの重力を受けているため、若干ですが動きます。そのとき、恒星からの光の波長が変化します。これを調べるのがドップラー法(視線速度法)です。また、惑星が恒星の前を通過するときに、恒星の明るさが減少することを利用するのがトランジット法です。 マイヨールたちが使ったのは、ドップラー法でした。そして、ついにその網に、1個の惑星がかかりました。それは、サイズは木星に近いほど大きいのに、公転周期は4.2日しかないという、太陽系の常識からはずれた惑星でした。多くの天文学者は太陽系の常識にとらわれていたために、なかなか見つけられなかったのです。 ペガスス座51番星の周りをまわっているこの惑星は「ペガスス座51番星b」と命名され、その特徴的な性質から「ホットジュピター」というカテゴリーに分類されています。 1つ見つかれば、あとは次々と見つかりました。その後、現在までの30年ほどのあいだに、5000個を超す系外惑星が見つかっています。 次の興味は、その中に生命を宿す惑星があるかどうかです。