「子ども守る」世界初 豪州のSNS禁止法に賛否 トラブル相次ぐ日本でも議論加速
■SNS禁止法案の背景に『いじめ死』 首相「放置できない」
このSNS禁止法案の背景です。 複数の調査によると、オーストラリアの10代は、約97%が平均4つのSNSを利用していて、世界で最もSNS利用が広がっている国とされています。 一方で問題も起きています。 情報収集や交流の手段として、若者のSNS利用が増加する中、詐欺や性暴力などの犯罪に巻き込まれるケースが相次いでいます。 また、犯罪に至らなくても、同調圧力にさらされたり、激しい誹謗中傷を受け、自ら命を絶つケースも起きています。 過去にはSNSによる影響で、このような事例もありました。 オーストラリアに住む14歳の女子生徒が、SNSで理想的な体形の人の写真を見て、同じ体形を目指し始めました。 その後、自分の写真を投稿した際に、「お腹が出ている」と1件のコメントが届きます。 これを受け、女子生徒は、食事をとるのをやめてしまいました。 最終的には、体重が約38kgまで落ち入院。 入院中には、心臓が2回止まり、一時は危険な状態に陥りました。 こうした問題以外にも、オーストラリアのアルバニージー首相は、SNS上のいじめなどが原因で子どもを失った親たちと対面したことで、この問題を放置できないと考えたということです。
■欧米でも未成年のSNS規制の動き 企業への罰金も
各国の未成年に対するSNS規制です。 アメリカでは、インスタグラムやティックトックを念頭に、7割にあたる35州で、未成年のSNS利用を規制する法案を検討しています。 このうち12州で法律の制定に向けた動きがあり、実際に制定している州もあります。 例えば、2024年3月、フロリダ州では、SNSのアカウントを14歳未満が取得するのを禁止する法律ができました。 フランスでは、2023年、15歳未満の子どもがSNSアカウントを作る際に、保護者の同意を義務付ける法律が制定されました。 ただ、利用者の年齢の確実な認証が技術的に難しく、施行されていません。 イギリスでは、2023年10月、『オンライン安全法』が成立し、SNSなどの運営会社に対し、利用者の年齢確認を厳格に行い、13歳未満にはアカウントを持たせないことを義務付けました。 規則が破られた場合、企業に対して、日本円で最大約34億円、または世界年間売り上げの10%が罰金として科せられます。