格闘技イベント「RIZIN」の試合はどう決まる? マッチメイク担当者を直撃
集客力に驚いたRIZINファイター──その名は皇治
──ちなみに交渉のやり取りという意味では、最近RIZINの公式Xでの寸劇が話題を呼んでいます。 柏木信吾 RIZINの動画チームから提案されたもので、私も詳細は知らない状態で「じゃあやってください」とスタートしました(笑)。 笹原さんいわく、私が提案したってことになってるんですけど、決してそういうことではありません。新しい手法として、面白くやらせてもらっています。 ──柏木さんがすごく頭を悩ませているシーンも印象的ですが、あのような場面は実際にもあるんでしょうか? 柏木信吾 あります。あの寸劇はほぼノンフィクションです。ノンフィクションをだいぶ誇張しているという。たとえばホワイトボードを使って、複数の大会を見通した上で、対戦カードや順番を考える。実際は3人ではなく、チーム全体での話し合いになりますけど。 ── 一つの大会だけでなく、複数を同時に考える? 柏木信吾 そうですね。各大会ごとのマッチメイクを考えつつも、年間のスケジュールを見渡した上で検討していきます。一つの大会だけに全力を注いでしまった場合、次の大会で満足のいくマッチメイクができなくなる可能性もあります。 なので、年間の大会を一覧にして、それぞれ会場のキャパシティや開催する地域などを考慮しながら決めていく。そういった会議は常日頃から行われていますね。 ──マッチメイクが決定した段階で、「これくらいの集客はあるだろう」という予測は立つものなんでしょうか? 柏木信吾 意外と計算できますね。初開催の地域だと前例がないのでわかりませんが、それ以外の大会は、「この選手がいれば、これくらいチケットは売れる」というのは、過去の経験を踏まえてある程度導き出せます。 そういう意味では、勝ち目がない戦いはしないというか、興行的にある程度の勝算を持った上で、マッチメイクを考えていますね。これは当然私だけではなくて、マッチメイクチーム全体で「このラインナップならイベントとして大丈夫ですよね」といったコンセンサスは取るようにしています。 ──たとえば「この選手はこれだけ人を呼べるんだ……!」と驚いたことはありますか? 柏木信吾 チケットの売り上げで「すごいな!」っていうのはありますね。特に皇治選手はさすがだなって思います。 試合が決まると、関係者たちに皇治選手から一斉に営業メールのようなものが送られてくるんですよ。 読むと「すごいな、ちゃんとしてるな」「そりゃチケットも売れるしスポンサーが付くのも納得だな」って思うんですよ。営業が上手で、格闘家でありながらビジネスマンとしてもしっかりしていて、本当に感心しました。 ……これ、彼の営業妨害になったりしないですよね? ──良いエピソードだと思います。 柏木信吾 褒めてますからね。本当に脱帽しました(笑)。