国内2冠の山本尚貴は5年ぶりの日本人F1ドライバーになれるのか?
国内の主要レースがシーズンを終えた11月下旬、日本のモータースポーツ界が少し落ち着かない。山本尚貴(30)が、国内トップフォーミュラの「スーパーフォーミュラ」と日本で最も人気のある自動車レースである「スーパーGT」の国内主要2冠を果たしたからだ。 今回の山本の国内主要2冠は、04年のリチャード・ライアン以来14年ぶり、日本人ドライバーとしては03年の本山哲以来15年ぶりの快挙。国内で無敵となった山本に、海外への挑戦、すなわちF1へのチャレンジを期待する声が高まるのは当然と言えよう。 日本人ドライバーが最後にF1でレースに出場したのは、14年の小林可夢偉。ホンダがF1に復帰した15年以降は日本人F1ドライバー不在の時代が続いている。ホンダも独自の育成システムを通して日本人ドライバーを支援しているが、いまのところはまだ実現していない。 その理由は「スーパーライセンス」だ。 スーパーライセンスとは、F1に参戦するためにFIAが発給する、文字通り特別な免許で、これを取得しないとF1でレースを行うことができない。スーパーライセンスを取得するためには、いくつかの条件を満たす必要があり、その中で最も厳しいのが、「FIAが定めたレースにおいて、申請前の3年間に40ポイント以上を獲得すること」というものである。 ホンダの育成ドライバーの福住仁嶺(ふくずみ・にれい)と牧野任祐(まきの・ただすけ)が、今シーズンF2選手権に挑戦しているのも、このポイントを獲得するのが最大の目的だが、選手権で上位争いができていない2人は、3年間40ポイントには遠く及ばない状況となっている。 このポイントはF2やインディカーといった海外のレースだけでなく、日本のレースでも取得可能で、スーパーフォーミュラとスーパーGTもこれに該当する。しかも、スーパーフォーミュラの王者には20点、スーパーGTを制すると15点が獲得でき、山本は今年だけで35点を荒稼ぎした。 さらにスーパーライセンスを取得するためのポイントは3年間有効で、山本は17年の3点(スーパーフォーミュラ年間9位による1点とスーパーGT年間7位による2点)と、16年の3点(スーパーフォーミュラ年間7位)の6点を所持していたため、合計41点となった。F1に参戦しているホンダ系のドライバーで、ただ一人、スーパーライセンスを申請する条件を満たしたのである。