1億2000万匹のペット社会 マナー浸透せずトラブル多発、毒殺事件も【洞察☆中国】
トラブル多発、「犬がうるさくて眠れない」
そのため、北京、上海のような大都会では最近、「ペットに優しい都市」の動きがあり、ペットに優しい空間をつくろうとしている。今まで入場禁止だった一部のショッピングモールやレストランではペットの同伴ができるようになっている。とにかく今、ペットを飼うブームが中国で巻き起こっている。 一方、ペットの数が急増するにつれ、飼い主のマナーによるさまざまなトラブルや衝突が生じ、社会問題になりつつある。 例えば、住宅地や道路で犬を散歩する際に、リードを付けず、犬が通行人と衝突するケースが多発している。散歩中に排尿・排便をさせ、後始末をしない飼い主がまだまだ多い。住宅団地の緑地に、犬のふんがあちこちに散らばって悪臭が漂い、通行人が一歩間違ったら「地雷を踏む」恐れが潜む。SNSでは、飼い主同士がペットのことで激しくけんかしたり、殴り合ったりする動画もかなり見掛ける。 今月の上旬に、あるニュースがSNSで拡散し、人々を震撼(しんかん)させ、多くの愛犬家を悲しませた。中国・広州市のある地域で、散歩後の犬が突然嘔吐(おうと)し、病院に運ばれて中毒と診断され、その後死亡する事件が相次いだ。わずか数日間で40匹以上の犬が中毒死したという。中国メディアによると、警察が速やかに捜査に乗り出し、40代の女性が犯行に及んだと自白したという。彼女は毒薬を緑地や周辺道路にまいたと認めた。理由については「犬が昼夜問わずほえてうるさく、ずっと眠れなかったから」と答えた。この事件は非常に悪質でまれなケースだが、現在の中国のペットブームの危うさを映し出した。 専門家は「ペットの急増に人々のペットに対する意識が追い付いていない。最近問題となっている動物虐待の問題も含めて、法律の整備が急務だ」と呼び掛けた。