91歳の料理家、小林まさるさん「料理は最高の“頭の体操”だよ!」【義父・義娘の最強コンビ!小林まさみ・まさるの「ハッピーごはん」①】
必要に迫られて始まった「義娘と義父」の異色コンビ
まさみさんが結婚したのは25歳のとき。結婚を機に、義父まさるさんとの同居生活が始まった。 「私は結婚後、会社勤めを続けながら、料理研究家を目指して調理師学校に通い始めました。その頃から、お義父さんは『家事は俺がサポートするから、まさみちゃんは自分のやりたいことをやればいい』と応援してくれました」(まさみさん) その後、まさみさんは会社を辞め、8年間、料理愛好家の平野レミさんなどのアシスタントを務めた後に独立。いよいよ自分の料理本を出すことになった。ところがこのとき、アシスタントが足りないという事態に。そこで立候補したのがまさるさんだった。 「まさみちゃんが料理研究家になるまでは、その仕事がどんなものか全然知らなかったけれど、これが本当に大変そうだった。夜中まで仕込みをしていたかと思ったら、翌日は早朝から出かける。それで、あるときアシスタントが足りないというので『俺がやるよ』って言ったんだ。野菜を刻んだり、洗い物したりするのは得意だから、任せておけってね」(まさるさん)
実はまさるさんは、若い頃から日常的に料理を手がけてきた家事の大ベテラン。一度離婚を経験し、一時はシングルファーザーとして二人のお子さんを育て、毎日の食事作りをしていた。その後、元妻と復縁したものの、妻は体調をくずしがちだったため、料理をはじめとする家事はまさるさんが担当。さらに、57歳で妻を亡くし、その後も同様に暮らしてきたので料理はお手の物だった。 初めて参加した料理の撮影で、まさるさんはみごとなアシストぶりを発揮。それ以降、まさるさんは料理アシスタントとして、まさみさんの仕事を手伝うことになった。こうして、後にお茶の間の人気者となる名コンビが誕生したのだ。
シニア料理研究家としての活動は認知症予防にも
息子の妻が料理研究家になったことから、思いがけず料理の世界に足を踏み入れたまさるさん。その後、まさみさんのアシスタントとして、メディアに登場することが多くなった。そして、「シニア世代の男性」という風貌からは想像もつかない、テキパキと手際よく料理をこなす姿に多くの人が注目。瞬く間に人気者になっていった。 今では「シニア料理研究家」としてひとりでも活動。自身のレシピをまとめた書籍を出版したり、テレビや雑誌でレシピを紹介したりしている。 そんなまさるさんが作る料理の魅力は、思い立ったらすぐに作れる手軽さと、「ありそうでなかった」組み合わせや味つけ。こうしたレシピを、まさるさんはどのように生み出しているのだろうか? 「レシピを考えるときは、まず冷蔵庫を開けて何があるかを確認するところから始まるよ。それで、そこにある材料の中から何を組み合わせて、どう調理するかを考える。同じ材料でも、揚げ物にするのか、炒めようか、さっとゆがいたらどうだろうかとか考える。あとは味つけ。しょうゆ味なのか味噌味なのか、塩・こしょうだったらどうかなとか。どうやっておいしく食べるかを考える。これは、すごく頭を使う作業だから、いい頭の体操になるよ」(まさるさん) こうして思いついたアイデアやレシピは、どんどんノートに書いていく。