箱根駅伝の長い歴史の中でもわずか…「4年連続区間賞」を記録した“伝説のランナー”たち
翌10年も、柏原は1時間17分08秒をマークし、前年の自らの記録を10秒更新するとともに、チームを往路・総合2連覇に導いた。だが、2月に右膝痛を発症し、練習不足から長い不振が続く。ライバル校も山登り対策に力を入れるなか、11年、3度目の5区に挑んだ柏原は、3位でタスキを受け取ると、「みんながゴールで待っているんだ」の思いを胸に攻めの走りに徹し、16キロ過ぎで首位浮上。1時間17分53秒は自身の記録に及ばなかったものの、3年連続区間賞で復活を遂げた。感極まって表彰式で涙を流す柏原を、酒井俊幸監督は「今年は(神ではなく)人間でしたね」とたとえた。 そして、最後の箱根となった12年、柏原は“神”の異名どおり、前人未到の1時間16分39秒をマークし、チームの往路4連覇と2年ぶり3度目の総合優勝を置き土産に卒業していった。(文・久保田龍雄) 久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
久保田龍雄