箱根駅伝の長い歴史の中でもわずか…「4年連続区間賞」を記録した“伝説のランナー”たち
翌95年も2年連続の8区で、きちんとペースを守る安定した走りを見せ、1分6秒03の区間新を記録。榎木の快走で勢いに乗った中大は9、10区でも連続区間賞を獲得し、5年ぶりの復路優勝を達成した。 そして、4区に配置された96年には、3区で2位から6位に順位を下げ、トップ・早大と2分44秒差という苦しい状況で、前を行く専大、法大を抜き、神大、山学大がアクシデントで相次いで途中棄権した結果、一気に2位へ。さらにトップ・早大との差を32秒差まで詰め、1時間2分15秒で3年連続区間賞を達成した。 だが、榎木は「(記録は)うれしいですけれども、山学大の中村(祐二)さんがあのようなこと(途中棄権)になってしまったし……」とレース中不運に見舞われたライバルを気遣っていた。その後、早大に2分15秒差の往路2位につけた中大は、復路で逆転し、32年ぶりの総合優勝を実現した。 翌97年は、坐骨神経痛の影響で苦しいシーズンとなる。榎木は悩んだ末、箱根の出場辞退を申し入れたが、木下澄雄監督は「この1年間、お前を中心にチームを作ってきた」とメンバーに入れた。その信頼に応えようと、「少しでも順位を上げることだけを考えて走りました」。調子はけっして良くはなかったが、強い向かい風のなか、前年と同じ4区を1時間6分03秒で走り、4年連続区間賞を手にした。 最後は、5区で大東大・大久保初男以来、史上2人目の4年連続区間賞に輝いた東洋大・柏原竜二を紹介する。 第85回大会(2009年)、1年生で5区に抜擢された柏原は、トップ・早大と4分58秒差の9位という絶望的な状況ながら、あきらめることなく、最初の5キロを14分台のハイペースで突っ込むと、勢いに乗って山頂までに7人を抜き去る。さらに19.2キロ過ぎ地点で早大・三輪真之も振り切り、そのままゴール。チームに往路初Vをもたらしたばかりでなく、総合初優勝にも大きく貢献した。“山の神”と呼ばれた順大・今井正人の区間記録を47秒も上回る1時間17分18秒を記録したことから、“新・山の神”の呼称も定着した。