総額68億円…大東建託が特別報奨金を支給する狙い
大東建託はグループの従業員持ち株会向けに、譲渡制限付き株式を取得するための特別奨励金を支給する。新型コロナウイルス禍からの本格的な業績回復を踏まえ、報酬による利益還元を通じて従業員の士気向上につなげるのが目的。支給総額は最大で約68億円となる見通し。将来の企業価値向上へ、株主目線での経営を促すことや離職率の低減につなげる狙いもある。 【写真】大東建託が仕掛けた〝バズる〟賃貸住宅 支給の対象となるのは「大東建託従業員持株会」に加入している従業員約1万5000人。1株につき1万7675円の普通株式を約38万株付与する。 従業員の等級によってそれぞれ付与する株式数が異なり、1人当たり11―56株まで6段階を用意している。支給日は20日で、譲渡制限期間は2027年5月31日まで。支給総額は最大で約68億円となる見通しで、20日に確定値が決まる。 大東建託は24年度から3年間の中期経営計画で、「人的資本経営の推進」を基本方針の一つに位置付けている。今回のような株式報酬制度の導入によって勤労意欲を一層の向上を図りつつ、従業員が一体となって企業価値の向上に取り組む姿勢を明確化する。さらに会社に対する帰属意識やロイヤルティーの向上、優秀な人材の引き留めなどの効果を引き出していく考えだ。 国内では人材の獲得競争の激化などを背景に、株式で従業員に報酬を付与する企業が増えている。同社の調査では、持ち株会向けに譲渡制限付き株式を導入した企業は6月30日時点で112社に達した。今回の付与総額は過去2番目、従業員1人当たりでは最大規模になるという。