【検証】日本のサケはディープクランクで釣れるのか?
ディープクランクの有効性とサステナブルな食材
ディープクランクを引き倒してみて、なぜよく釣れるかがなんとなくわかった。漁協の大森さんによると、サケは下向きになってエサを喰う傾向が強いらしいので、ボトムをなめるように引けるディープクランクは理にかなった選択のようだ。しかも短い距離でも激しくアクションするので、たとえ見えるサケがいなくても、偶然サケの前を通過する際に、強烈なアピール力を発揮するのだろう。そして、巨大なリップが障害物を回避してくれるので、根がかりが非常に少ない。 この2日間、ミノーやスプーンはロストしたが、ディープクランクは1個もなくさなかった。様々なタイプを使ってみたけれど、いい感じだったのは「キックバッカ―(デプス)」と、「カスカベル(デプス)」、それから往年の名手「DD22(ノーマン)」だった。釣れたのは「キックバッカ―」のみだけど、「カスカベル」でもいいサイズが2本ヒット。残念ながらバラしてしまったが、あれは針のサイズをもっと上げるべきっだった気がする。 五十嵐川の有効利用調査に参加した際、三条ホテル旅館組合の宿に宿泊すると、割引などの嬉しいサービスがある。中でも我々が宿泊したみなとや旅館さんでは、「釣ったサケを三枚におろしてくれる」という有難いサービスがあるのだ。釣り終了後、早速持っていくとご主人が丁寧にさばいてくれて、調理法まで伝授してくれた。 ご主人「川を上がってきたサケを嫌う人もいますが、同じ新潟である村上のサケは献上品でもあります。新潟の人にとっては昔から貴重なたんぱく源なんです。だから、全部料理するし、捨てるところはほとんどないんですよ」。 身や皮を食べるのはもちろんだけど、エラも丁寧に血を抜き取って、油で揚げるといい酒の肴になる。血合いも1か月塩漬けにしてスライスするとこれまた珍味。本当の手間をかけた伝統的な日本の地方料理には、「臭み」を「旨み」に替える魔力がある。スローガンだけのカッコつけではない、サステナブルの真髄がここにあると思った。今年もいい釣りを満喫できた五十嵐川、来年も行けるかな?
■五十嵐川漁業協同組合 住所:新潟県三条市高岡651 電話:0256-38-4067(9:00~16:00) ■みなとや旅館 住所:〒955-0862 新潟県三条市南新保15-8 電話:0256-33-1471
横沢 鉄平:フリーライター。ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。「ヨコザワテッパン」考案者。