安易に考えるべきでなく、誰にでも勧められるものでもないが──「やはり凍結してよかった」当事者となった国会議員の体験から #卵子凍結のゆくえ
今年、公費助成での初の出産例が生まれるなど、関心が高まっている「卵子凍結」。参議院議員の塩村あやかさんも、卵子凍結を行ったひとりだ。自身の卵子を凍結して初めて気づかされることが多くあったという。その経験も生かしながら、不妊治療に関する問題や保険適用に向けた制度設計などに国会議員として積極的に取り組む。今後、卵子凍結の利用が広まっていくとすれば課題はどこにあるのか、塩村さんの経験から探る。(ノンフィクションライター:近藤雄生/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
衆院選落選後に卵子を凍結した理由
参議院議員の塩村あやかさん(43)は、前職の東京都議会議員の時代から、不妊治療の問題に取り組んできた。都議会で「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」「産めないのか?」といった“セクハラ野次”を他の議員から飛ばされたのは、都議会議員になった翌2014年のこと。そのときも、不妊問題などに関連して女性への支援が必要であることを一般質問で訴えていた。 塩村さん自身が卵子凍結を行ったのは、2017年に初めての衆議院議員選挙を地元広島で戦い終えたあとのことだ。当選には至らなかったものの、予想以上の票を得ることができ、手ごたえを感じた。次も挑戦したいと思った。そのとき、卵子を凍結するという選択について具体的に考えるようになったという。 「当時39歳で、子どもがほしいという気持ちはずっと持っていたので、妊娠・出産についてはよく考えていました。ただ、国政にもう一度挑もうと思ったとき、いま、子どもを産むという選択をしてもいいんだろうかという気持ちになりました。一度実際に経験してみて、やはり国会議員を目指すなら、朝は必ず道路に立って、昼になったらスーパーの前で手を振ってと、毎日が選挙のように暮らしていかないといけないと痛感しました。子どもを産むこととの両立は困難だと思いました。年齢も年齢だけにすごく悩みましたが、そうした中、広島で、信頼できる産婦人科の病院に出会えて、卵子を凍結するという方向で動くことにしたんです」