【Q&A】「保釈」って何?
昨年の参院選で公職選挙法違反(買収)の罪に問われている参院議員・河井案里被告について、東京地裁が保釈を認める決定をしたと報じられています。保釈保証金は1200万円とのことです。最近では大麻取締法違反の罪で起訴された俳優の伊勢谷友介被告が保釈されたほか、日産自動車カルロス・ゴーン元会長の保釈中の海外逃亡も大きく注目されました。ニュースでたびたび耳にする「保釈」ですが、どういう制度なのでしょうか? 裁判所の公式サイトを基に解説します。
Q:どういう制度?
最高裁の公式サイトによると、勾留は被告人が証拠の隠滅や、逃亡する恐れがある場合に行う「手段」だとしたうえで「被告人の身体の自由を奪わなくても、他の方法で同じような目的が達せられるのであれば、その方が望ましい」と書かれています。 そして、被告人が保証金を納めることで身柄を釈放する「保釈」制度を設けているのだとしています。ただし、(1)被告人が裁判中に逃亡する(2)裁判所の呼出しに応じない(3)証拠を隠滅する――などの場合には再び身柄を拘束し、保証金は没取されます。 日産自動車のゴーン元会長は、保釈中にレバノンへ逃亡したため保証金は没収されました。
Q:手続きは?
保釈は、被告人自身だけでなく、家族、弁護人などが請求することができ、請求があった場合には裁判所が判断します。許可されれば、被告人側が保釈保証金(保証金)を納め、保釈されます。 裁判所のサイトには、「勾留は被告人の身体の自由に対し大きな制限を加えることになりますから、保釈の請求があれば、裁判所は一定の場合を除いて必ずこれを許さなければならない」と記載されています。
Q:保釈が認められない場合もあるよね?
全ての人の保釈が認められる訳ではありません。(1)殺人などの重大犯罪の場合(2)証拠隠滅の恐れがある場合(3)常習性が認められる場合――などは保釈請求があっても裁判所が許可しないことがあります。
Q:保証金の金額はどう決まる?
保証金の額は、(1)犯罪の重さ(2)被告人の経済状態(3)生活環境――などを考慮し、被告人の逃亡や証拠の隠滅を防ぐのにどのくらいの金額を納めさせるのが適当かを裁判所が判断して決めます。 2度保釈されているゴーン元会長の場合、1回目が10億円、2回目が5億円とされています。一方、伊勢谷友介被告は500万円だと報じられました。
Q:有罪になると保証金は没収されるの?
保証金はあくまで公判に出頭するためのものです。そのため、保釈と取り消されて没収されることがなければ、裁判が終わった段階で有罪・無罪を問わず返還されます。