75 歳からのがん治療で「薬物療法」を選ぶなら ~長期に及ぶ薬の管理方法や異変に気づく方法
がんの薬物療法を受けるときの注意点
薬物療法は、長期に及ぶことも多くなります。身近な人の協力も必要です。 ■使用する薬の特徴を知る 副作用の現れ方は使用する薬により異なります。注意したいサイン、対応のしかたをあらかじめ確認しておきましょう。 ・細胞障害性の抗がん剤 血液細胞や粘膜の細胞など、新陳代謝がさかんな組織の障害が起こりやすくなります。吐き気・嘔吐、下痢、倦怠感、脱毛、手足のしびれや皮膚症状(手足症候群)など、副作用として現れる可能性のある症状はいろいろです。 ・ホルモン療法薬 ほてりやのぼせ、骨粗しょう症、肝機能障害などがみられることがあります。 ・分子標的薬 正常な細胞にもがん細胞と同じ目印がみられ、特有の副作用が現れることも。手足症候群は歩行の妨げになるほどひどく出ることもあるので要注意。 ・免疫療法薬 免疫の働きが強くなりすぎると、ときに重い副作用が出てくることも。どこにどのような副作用が現れるか予測しにくいため、早期発見・早期対応が重要です。
気がかりなサインを見逃さず、早めに対応する
高齢の患者さんは体調の変化に自分で気づきにくかったり、うまく伝えられなかったり、臨機応変な対応が難しいこともあります。身近な人の協力が必要です。 ■発熱性好中球減少症に注意 抗がん剤の影響で、血液細胞のなかでもとくに減りやすいのが好中球。好中球が減ると、感染が起こりやすくなります。 抗がん剤治療中の発熱は、感染のサインです。あらかじめ、医療者に発熱時の対応のしかたを確認しておきましょう。
在宅で服薬を続けることも。薬の管理を工夫します
がんの治療薬の開発が進み、高齢の患者さんでも通院しながら薬物療法を続ける例が増えています。注射や点滴を受けに通院することもあれば、毎日、服用を続けることもあります。 飲み薬なら負担が少なそうに思えるかもしれませんが、治療がうまくいくかどうかは、指示されたとおりに飲み続けられるかにかかっています。また、飲み薬だから副作用がないわけではなく、とくに分子標的薬には特有の症状もあります。心配な症状があれば、すぐに対応することも必要です。