75 歳からのがん治療で「薬物療法」を選ぶなら ~長期に及ぶ薬の管理方法や異変に気づく方法
決まったとおりに飲む工夫
薬の飲み忘れだけでなく、飲んだことを忘れて余計に飲んでしまう場合もあります。薬剤師や看護師(訪問看護師)に相談しながら、薬の管理を工夫します。 (1)1 回に飲む薬をひとつにまとめる 高血圧や糖尿病の治療薬など、がんの治療薬以外にもさまざまな薬を処方されている場合、飲む薬をひとつにまとめる「一包化」が可能なこともあります。 (2)回数や剤型を変える 作用が同じ薬でも、1 日の服用回数が1 回でよいもの、水なしで飲めるOD 錠、貼付薬など、さまざまな種類がある場合もあります。変えられるものがあれば、変更するのも一法です。 (3)服用のタイミングで渡す 飲み忘れが減らない、薬をシートから取り出せない場合には薬の管理は家族や介護者がおこない、1 回分ずつ本人に渡してその場で飲んでもらいましょう。 服用したらノートやカレンダーにチェック。スマートフォンを使っているなら服薬管理アプリの利用も便利です。 (4)介護サービスを利用する 訪問看護を利用すれば、訪問看護師に薬の服用介助をお願いできます。「薬を飲ませること」は医療行為にあたるため、介護ヘルパーには頼めませんが、服用したかどうかの確認はしてもらえます。
薬の種類を減らせないか、相談してみよう
がん以外にも複数の持病があり、それぞれ主治医がいるという人も多いでしょう。それぞれの病気に最適な治療薬が処方されると、必然的に服用する薬の種類が増えます。 薬の種類が増えると、薬どうしが作用を及ぼし合って思わぬ症状が現れ、その症状を抑えるためにさらに処方される薬が増えるという事態に陥りやすくなります。 薬のことで不安を感じたら、がまんして飲み続けるのではなく、医師や薬剤師、訪問看護師に薬の種類を減らせないか、相談してみましょう。
小川 朝生(国立がん研究センター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発分野長)