今、ザックJ対アギーレJが仮想対決したらどうなる?
戦い方の引き出しに加える新たなテーマとしてアギーレ監督が掲げる「堅守速攻」が形をなさず、日の丸を背負って戦うことへの誇りや責任感といったものも薄れつつある現状では、新旧の日本代表が同じピッチで対峙した結果は火を見るよりも明らかだろう。 発足直後からメンバーをある程度固定し、代表チーム内の新陳代謝を促さなかったザッケローニ前監督のチーム作りは、真価が問われるワールドカップ本番で最終的には破綻をきたした。新体制になってまだ4試合しか戦っていない、時期尚早だという声もあるかもしれないが、ブラジルで一敗地にまみれたザックジャパンと比べて成長の跡が感じられえず、むしろ後退している感が否めない現状をもっと深刻にとらえなければならない。 そして、バーチャルの世界の対決ではなく、はっきりとした項目からザックジャパンとアギーレジャパンを対比できる舞台がアジアカップとなる。就任時期がずれ込んだ関係もあって、ザッケローニ監督は2010年10月に行われた2試合の親善試合を経てカタールの地に乗り込み、優勝という結果を残した。 対照的にアギーレ監督は11月15日のホンジュラス代表戦(豊田スタジアム)、同19日のオーストラリア代表戦(長居スタジアム)を含めた6試合を戦い、加えてJリーグをはじめとする選手視察にも十分な時間を割くことができた。何よりも指揮官自身が、年内に行われる6試合はアジアカップへ向けたオーディションの場だと明言している。 アジアカップで前任者と同じ結果を残せば「有言実行」となるし、そうでなければ低空飛行に対する単なる「言い訳」だったことが図らずも証明される。そして、後者の場合にはプレワールドカップとなるコンフェデレーションズカップの出場権を逃すことへの是非うんぬんよりも、ロシア大会までの指揮をアギーレ監督に託していいのかという根本的な問題が頭をもたげてくることになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)