今、ザックJ対アギーレJが仮想対決したらどうなる?
現状を分析する限りでは、アギーレジャパンは「堅守」も「速攻」も実践できていない。14日にシンガポールで行われたブラジル代表戦では相手の縦パスの出しどころにプレッシャーをかけるわけでもなく、一方で最終ラインの位置は中途半端に高い。必然的に裏を突かれる回数が多くなるが、FWネイマール(バルセロナ)に抜け出されても、何人かの日本の選手は必死に追う前に副審へオフサイドをアピールしていた。 10日のジャマイカ戦に続いてワントップに起用された岡崎慎司(マインツ)は「速攻」のキーマンとしての役割を担ったが、サポートを得られずに前線で終始孤立した。ボールを奪ってからのビルドアップにもスピード感が感じられず、最後までブラジルを本気にさせることなく0対4で完敗した。 アギーレ監督は「4‐3‐3」を基本フォーメーションに据えている。マイボール時にはアンカーが最終ラインに下がり、両サイドバックが高い位置取りになる「3‐4‐3」に変わる点を含めて、日本人選手には経験の薄い戦い方となる。しかしながら、アギーレ監督はポジションの基本的な立ち位置こそ示しただけで、このように公言してはばからない。 「私はヒントを与えるが、それをピッチ上で発展させるのは選手たちだ」 ザッケローニ前監督は本格的な始動となった2010年10月の短期合宿から、まさに微に入り細で守備の約束事を徹底。初陣となった、FWリオネル・メッシ(バルセロナ)を擁するアルゼンチン代表戦での金星につなげた。ワントップの選手が相手のボールホルダーに対してプレッシャーをかけ、タッチライン際のなるべく高い位置に追い込み、数的優位を作ってボールを奪うという確固たる指針があった。 対照的に、アギーレジャパンは例えるならば「徒手空拳」状態で戦っているに等しい。原専務理事が期待する日本代表の再建も、前監督時代からの上積みも現状では見出すことができない。何よりも、55歳のメキシコ人指揮官はブラジル戦を含めたすべての国際親善試合を、来年1月にオーストラリアで開催されるアジアカップへのメンバー選考の舞台だと明言している。