今、ザックJ対アギーレJが仮想対決したらどうなる?
選手ならば誰でも代表に残りたいし、日の丸を背負ってプレーしたいと望む。無意識のうちに相手チームよりも、ベンチでチェックに目を光らせるアギーレ監督の存在を意識する。日本のためにではなく、自分のこのプレーを見てほしいという意識が優先される。水沼氏が「チームになり得ていない」と指摘する原因がここにある。 「代表とはチームでないといけないし、個がしっかりしていなければいけないし、個がチームのためにプレーしなければいけないし、だからこそ個が強くならなきゃいけない。そうした流れがある。アギーレ監督になって毎回のように出場するメンバーが変わって、選手たちもモチベーションの部分でどこか集中しきれない状態が続いて中で、ブラジル戦では本田や長友ら、メンバーが変わってきた中でも中心にいた選手たちも先発から外した。それでは難しいと言わざるを得ない」 過去の招集歴などにこだわることなく、積極的に選手を試していく方針を掲げ、実際に実践している点でアギーレ監督のチーム作りのプロセスは前任者とは180度異なる。FW武藤嘉紀(FC東京)やMF柴崎岳(鹿島アントラーズ)が代表デビューを果たした上にゴールまであげ、DF森重真人(FC東京)やMF細貝萌(ヘルタ・ベルリン)がアンカーとしての新境地を見出してもいる。 それでも、ピッチの上で自由が与えられている、ネガティブにとらえれば「選手任せ」となっているアギーレジャパンの現状においては、可能性を秘めた「個」が連動して「チーム」とならない。ドゥンガ新監督の下、母国開催のワールドカップで喫した惨敗からの捲土重来を期すブラジルの明確な戦い方の前に、現在地があぶり出されたと言っても決して過言ではない。水沼氏が続ける。 「例えば柴崎はまだA代表で3試合目。注目されているし、いい部分も出しているけどまだまだこれからの選手だし、ブラジル戦で2点目につながったミスなどは成長していくための糧にして欲しい。アギーレ監督が掲げる選考という方針とは別にして、選手たちには『代表とは何だろうか』ということをいま一度、考えて欲しい。背負っているものの大きさというものを感じないと、代表としてはやはり戦えない。ザックジャパンにはそれがあったけれども、アギーレジャパンはまだ感じていないとどうしても思えてしまう。日本代表というチームには、長きにわたって積み重ねられてきたものがある。ザッケローニ監督はワールドカップなどの経験を持つ選手をある程度出場させながらチームを作ったので、そういうものが自然と引き継がれていった。かつて代表でプレーしたOBとして、11月の親善試合に招集される選手たちには重みといったものを感じながらプレーしてほしい」