歯科医師・石井さと子さんに虫歯ができた! 原因は? 治療は? 治療後のセルフデンタルケア方法は?
虫歯の治療がスタート!さようなら八重歯ちゃん
「さっそく、虫歯の治療が始まりました。見た目にはなんら変わりなく、かれこれ60年近く働き、咬合の支えとなった私の八重歯ちゃん、さようなら。 なんて感慨に耽る暇もなく担当歯科医は治療計画を立て、早々に歯の神経を取る抜髄治療。ここで麻酔をしましたが、神経の治療につきものの痛みや出血が全く無し。不気味なことに、神経は半分以上死んでいてほぼ失活状態でした。多分、詰め物の経年変化で菌が少しずつ入りこみ、歯の神経に到達し感染して静かに死に至らしめたのでしょう。 こんなふうに文章にして改めて眺めると、菌って本当に完全犯罪のプロに思えます。が、意外とこういうケースの患者さん、多いんですよ。そして、自覚症状がないと自分で気がつかず、放置することでゆっくりと慢性状態で炎症が進み、歯の根の先に大量の膿を貯めた嚢胞を作ります。 これが、体調不良の時などの機会を得ると、一気に急性状態に転嫁し強い痛みと腫れを伴います。まさに大怪獣ゴジラが好機を得て暴れ出し、火を噴く感じです。こうなると、治療期間が長引き、予後も思わしくない事があります。 歯が痛くない、症状など何にもない時に診てもらう歯科検診の大切さを、身をもって実感しました。ゴジラが猛威をふるい、建物を崩壊するのを食い止める事ができます」
せっかくの機会、歯をデザインしてみる!
歯の神経を抜髄して取り、内部を無菌化して埋めて歯の根の治療を終えたら、次は削られて失った歯肉の上側の歯冠の治療がスタート。 「歯根が炎症を起こしていなかったので、治療もサクサクと進みます。これからセラミッククラウンを施すので、まずは歯の土台をしっかりと固めます。私は歯に似たしなやかな土台のファイバーコアを選択し補強しました。この上からセラミッククラウンを被せるのです。 ここからがちょっと楽しみになります。私の八重歯はいわゆるフラットなタイプ。特に特徴も無く長さ、形も普通でした。そこで、ちょっとだけ八重歯に個性みたいなものを持たせたいと思い、担当歯科医と相談しながら八重歯のフォルムをデザインしてみました。 色は透明感のある白さ、中心部に豊隆を持たせ、嚙み合わせの邪魔にならない程度に本来よりちょっとだけ長めの歯冠にしてみたのです。新しいセラミッククラウンを装着すると、丁度口角の手前に位置するニュー八重歯ちゃんがキラキラと輝いているように見えて気持ちがどんどん歯ッピーになりました。笑顔のアクセントになりそうです」