パリス・ヒルトンが語る「表現者」としての信念、女性のエンパワーメント、日本を愛する理由
“Infinite Icon”になる条件、日本への想い
―アルバムに着手するにあたって掲げていたゴールはありますか? どんなアルバムを作りたいのか、どんな楽曲を歌いたいのか、明確なアイデアはありましたか? パリス:私が掲げていた主なゴールは、パーソナルなアルバムを作ることと、現在の私の姿、そしてこれまでに私が辿ってきた道、得てきた教訓を反映させることでした。また、ラヴであったり自分の脆さであったりテーマはそれぞれ違っていても、曲ごとにひとつのストーリーを伝えるようなアルバムにしたかった。さらには、オーセンティックな自分を受け入れるよう、聞く人をインスパイアする作品を作ることも意識していました。自分の人生の軌跡を肯定し、自分の無限のポテンシャルに気付いてもらえるように。あとはただ、みんなが聞きながら踊ったり、涙を流したり、あるいは「自分は理解されている」と実感できるような、タイムレスなアルバムを目指したということですね。 ―特にアルバムの後半には、まさしく踊れるアップビートな曲が並んでいます。あなたのDJ活動は今作のサウンド・プロダクションにどれほど影響を与えましたか? パリス:DJ活動は間違いなく大きな影響を及ぼしています。私は10年以上各地でプレイしてきて、音楽がどんな風に人々を動かすのか、より深く理解できるようになりました。例えば曲のテンポを変えるだけで、クラブ空間のエネルギーを刷新できてしまうんですよね。だからそういうマジックや興奮をアルバムにも反映させたかったんです。私はDJとして人々を元気付ける方法を心得ていますから、アルバムにも同じヴァイブとエネルギーを持ち込むことで、クラブで鳴らせるだけでなく、出かける準備をしながら聞いたり、車を運転しながら聞いたり、誰もが楽しめる作品になっていたらうれしいですね。 ―音作りにおいて中心的な役割を果たしたのは、売れっ子プロデューサーのジェシー・シャトキンですね。 パリス:ジェシーを紹介してくれたのもシーアで、彼女の代表曲の数々に関わった人だけに、ジェシーとのコラボは意義深い経験になりました。彼は、様々なアイデアを非常にフレッシュでエモーショナルかつインパクトのある形で曲に落とし込む能力に、長けているんですよね。それに、アルバムのテーマについてふたりで長い時間を費やして語り合って、私がエモーションを音楽に注ぎ込む手助けをしてくれましたし、本当に楽しい作業でした。スタジオでも彼と一緒にいるとリラックスできて、私のヴィジョンを理解して具現化してくれたと思っています。 ―『Infinite Icon』というタイトルに込めた想いを教えて下さい。 パリス:この2語は単なるアルバム・タイトル以上の意味を持っています。“Infinite(無限の)”という単語は、誰もが備えている無尽蔵の可能性を示唆していて、「自分の可能性の全てを受け入れて、流行や時代を超越したレガシーを残そう」と宣言しているというか。と同時に、自分の身に起きたこと全て、自分が成し遂げたこと全て、そして今後自分に起き得ること全てを祝福する―――という意味も備えているんです。何しろ私はこれまでに、幾つもの役を演じてきました。リアリティ・スター、起業家、DJ、活動家(※彼女は自身が寄宿学校で虐待的な扱いを受けた体験を踏まえ、子どもを守る法律を制定するようアメリカ議会に陳情した)、妻、母……。私の人生の旅に何かしらユニークな側面を加えてくれた、これら全ての自分を祝福したかったんです。 ―では、“Infinite Icon”になる条件とは何だと思いますか? パリス:繰り返しになりますが、それはオーセンティシティであり、自分を偽らないことであり、躊躇なく自分らしく振る舞うことであり、試練を克服する力も非常に重要です。そして単に有名だというのではなく、インパクトを与えることを忘れてはなりません。つまり、アートを通じて、ビジネスを通じて、啓もう活動を通じて、社会に何らかの変化をもたらさなければ。“Infinite Icon”になるには他者を助け、変化を促し、世界をより良い場所にできる能力が必要だと思っています。 ―最後に、日本にもあなたに憧れて育った人たちは少なくありません。日本のファンに何か伝えたいことはありますか? パリス:私は日本のファンを心から愛していますし、日本は旅先として大好きな場所のひとつ。ファッションを始め日本発のカルチャー全般から私は多大なインスピレーションを得ていて、東京を訪れた時の楽しい思い出がたくさん残っています。スウィートなファンのみなさんと接する機会もありました。人々の優しさが忘れられないですし、日本が恋しい! またそちらに行ってパフォーマンスができたりしたらうれしいですね。何しろ日本は、2002年に妹ニッキーとサマンサタバサのイメージモデルに起用されたことで、私のキャリアをローンチするきっかけを与えてくれた国でもありますから! --- パリス・ヒルトン 『Infinite Icon』 発売中 『PARIS The Memoir』(パリス・ザ・メモワール) 著者:パリス・ヒルトン 訳:村井理子 予価:2,970円(本体2,700円+税) 発売:2025年1月28日(金) 判型:四六変形並製 ページ数:464ページ
Hiroko Shintani