定番はカロリーメイト、映えない「ディストピア飯」地味に人気の続く訳、人々が食いつく背景には何があるのか
もう1つはカロリーメイト(ディストピア飯では定番)とビタミン剤、ウィダー・イン・ゼリーなどの『コンピュータに管理された未来』チーム、「昨日Aブロックで騒ぎがあったらしいぜ」という投稿。どちらもコンビニで売られる食品だけで構成されている。 「この時点で、ディストピア飯で投稿される2つのパターンが確立されています。1つは戦争や疫病などで文明が滅び、資源が枯渇した終末後の世界を表す『ポスト・アポカリプス型』。もう1つは、共産主義の原型と言われる、トマス・モアが16世紀に書いた小説『ユートピア』に出てくるような、全体主義的な管理社会」と三原氏は説明する。
■投稿者たちが影響を受けた映画 【2024年4月9日10時32分追記】初出時、映画の内容などに誤りがあり、一部文言を修正しました。 最初の投稿を含め、投稿者たちにインスパイアを与えたのはおそらく、2012年に公開されたSF映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で、施設で主人公が食べさせられるペースト料理だ。その元ネタとなった映画が、1968年公開の『2001年宇宙の旅』。 「原作者のアーサー・C・クラークは、研究者からも助言を求められるような、半分科学者みたいな人。作中に出てくるペースト状の宇宙食は、当時の最先端の宇宙食にかなり近いビジュアルです。一方、ヱヴァのほうは、いかにもマズそうなイメージです」(三原氏)
もともとSF好きという三原氏は、SF映画の描き方も、管理社会のユートピア型と、荒廃した未来のポスト・アポカリプス型に分けられると分析する。前者の代表が、先の2作のほか、全体主義体制で自我に目覚めた主人公を描く1984年公開の『1984』など。 後者の代表が、人口爆発による食糧不足で食事が配給制になった社会を描く1973年公開の『ソイレント・グリーン』や、大国の対戦で荒廃した社会を描く1981年公開の『マッドマックス2』。