ウォーレン・バフェットは「米国株売り、日本株の買い増し」を進めている?オマハの賢人に学ぶ「いやな相場」のしのぎ方【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
※本稿は、チーフグローバルストラテジスト・白木久史氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
------------------------------------- 【目次】 1.オマハの賢人、ウォーレン・バフェット 2.上昇相場で株を売りまくるバフェット 3.日本株に強気のバフェット ------------------------------------- 何かと話題のあの方が大統領に再選され、日本では過半数割れの与党が政権を維持し、世界の経済成長をけん引してきた中国は不景気に喘ぎ、日米の金融政策は正反対に向いている、そんな「一筋縄ではいかない」相場環境を、どうしのいでいけば良いのでしょうか。「下手の考え休むに似たり」ともいいますが、こんな時こそ賢人のやり方を真似てみるのもありかもしれません。そこで今回は、世界で最も有名な投資家の一人であるウォーレン・バフェット氏の最近の投資動向を見ながら、今を乗り切る投資のヒントを探ってみたいと思います。
1.オマハの賢人、ウォーレン・バフェット
■米国の著名投資家ウォーレン・バフェットは1930年生まれの94歳で、自身の経営する投資会社バークシャー・ハザウェイを通じて株式投資を行っています。バフェット氏が注目される最大の理由は、抜群の投資パフォーマンスにあります。1990年1月末~2024年10月末までの期間でみると、バークシャー・ハザウェイ社の株価は約90倍に上昇しています。この間、MSCI世界株指数は約6.3倍、S&P500種指数は約17.3倍、ナスダック総合指数が約43.5倍の上昇となっており、バフェット氏の投資パフォーマンスの凄さが分かります(図表1)。 ■バフェット氏の投資は徹底的なリサーチに基づく「長期・集中・割安株投資」として知られます。そんな、バリュー投資の達人とされるバフェット氏の凄みを見せつけたのが、リーマンショックの最中に行った米投資銀行大手ゴールドマン・サックスへの投資です。 〈リーマンショックでも逆張りする「鋼のメンタル」〉 ■この時期、世界の金融市場は大手投資銀行のリーマン・ブラザーズの経営破綻を受けて大混乱に陥り、MSCI世界株指数のドローダウン(直近高値から安値までの下げ幅)は約60%にも達しました。そんな混乱のただ中の2008年9月24日に、バフェット氏はゴールドマン・サックスの発行する優先株に50億ドルを投資しました。金融市場が暴落する中での孤独な逆張りは、まさに「鋼のメンタル」のなせる業と言えそうです。 ■その後、政府・金融当局による大胆な金融緩和やなりふり構わぬ資本増強策などが奏功して金融市場は安定を取り戻しますが、誰もが尻込みする局面ならではの破格の好条件での投資(利回り10%、ワラント付与など)であったことから、バフェット氏とバークシャー・ハザウェイ社は大きなリターンを上げることとなりました。
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