【大学受験】総合型選抜で増える「下克上」 偏差値の大逆転ができる入試を専門家が解説
総合型選抜や学校推薦型選抜の「年内入試」を導入する大学は増加の一途をたどり、今や大学入学者の半数以上がこの年内入試を活用しています。注目すべきは、学力試験を課さない大学も多いことです。追手門学院大学客員教授で学習塾業界誌「ルートマップマガジン」の西田浩史編集長が、総合型選抜の現状について解説します。 【写真】総合型選抜、100日あれば合格できる? 専門塾が教える「戦略」とは
親世代が大学受験生だった時代は、学力試験による大学への入学者が多数を占めていました。しかし、現在は下記のように状況が変わっています。 ●2023年度の年内入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)による大学入学者は50.7% →一般選抜より、年内入試による入学者のほうが多い。一般選抜の募集人数は減少傾向 ●学力試験を課さない総合型選抜を実施する大学が多い →早慶やGMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)、一部の国公立大学など。書類審査(志望理由書も含む)、小論文、面接やグループディスカッションがスタンダード 注目すべきは、多くの難関大学でも総合型選抜に力を入れ、拡大している点です。もっとも東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった難関大学に多くの合格者を出している「トップ校」といわれる高校では、まだ一般選抜で受験するケースが多く、総合型選抜の受験者は少ないのが現状です。 総合型選抜については、早期からきちんと対策をすれば、高校の偏差値が30~40程度の進路多様校からGMARCHなどの難関大学にも合格できる可能性は十分にあります。筆者が300の塾の関係者に行った聞き取り調査でも、9割の塾関係者が、総合型選抜を利用すれば偏差値の大逆転が可能、つまり「下克上」が起きうると回答しています。 ●総合型選抜に強い高校の特徴は?(上位の回答) ①進路に関して自由である ②大学との連携が熱心 ③部活動が活発 ④大学受験に詳しい教員がいる ●総合型選抜の対策はいつから始めるとよいか 高校1年 51% 高校2年 28% 高校3年 21% ●総合型選抜に向けて力を入れるべき対策 評定平均を上げる 33% 課外活動の実績をつくる 31% 志望理由書 12% 小論文 11% 面接対策 10% その他(過去問題分析など) 3% ●何校くらい受験するべきか 1校 10% 2校 24% 3校 50% 4校 7% それ以上 9% (ルートマップマガジン社が2024年に実施した、全国300塾への聞き取り調査から) 調査結果からは、早い時期から「評定平均を上げる」「課外活動の実績をつくる」に力を入れることが対策につながることがわかります。なぜなら、この2つが志望理由書と面接での回答に大きく影響するからです。