辻井伸行、様々なピアノと出合う楽しみ支える「調律師さんの仕事に感謝」
少しでもいい演奏をするために、心がけていること
言葉の端々から志の高さが伝わってくるが、ピアニストとしての自分を維持するためにはどんな日常生活を送っているのだろうか。 「練習も大事ですが、音楽以外のことをやるように心がけています。外に出て気分転換することもありますし、新しい趣味として最近は陶芸にハマっています。ツアー中には温泉に入って疲れをとったり、散歩したりするのも気分転換になりますね。もちろん健康管理も大切です。ゆっくりできるときは、その地元の料理を食べたり、お酒を飲んだり、体を動かせるときは水泳など運動をして体力をつけています。少しでもいい演奏をお聴かせしたいので」 クラシック音楽というとさまざまな批評がつきものだが、批評はあまり気にすることなく、むしろ直接自分の音楽を聴きにきてくれた聴衆の反応を気にするという。 「お客様の拍手は励みになりますし、もっともっと頑張ろうという気持ちになります。後ろのほうまで席があるホールだと、上からシャワーのように降ってくる拍手を浴びて、こんな大きなホールで皆さんの前で弾けて幸せだなと、いつも思います」 最後に、ピアニストを目指す人へのメッセージをもらった。 「もちろん音楽やる上で練習は大切ですけれど、好きなことを見つけて気分転換することも大事。音楽以外の趣味や勉強も音楽にプラスになるので、練習だけではなく、そういうことも積極的にやって、演奏を楽しんでもらえたらなと思います」 (取材・文・撮影:志和浩司)