体験が多いほうが子どもの「学力」や「自己肯定感」は上がる? 学力調査に詳しい専門家に聞く“研究結果”とは
日ごろ、子どもにどのような体験をさせていますか? いろんな体験をさせたくても、難しいこともあるかもしれません。最近は「体験格差」の話題もたびたび耳にするようになりました。そこで体験が子どもの成長にどのように影響を与えるのか、子どもの学力や非認知能力に詳しい、お茶の水女子大学教授の浜野隆さんに聞きました。 【調査結果グラフ】体験と非認知能力、世帯年収の関係はこちら(全3枚) ■自然体験、社会体験、生活体験…体験といってもいろいろある! ――そもそも「体験」といっても幅広いですよね。 体験とは、その名のとおり「自分が身をもって経験すること」(広辞苑)です。ただそれでは漠然としているので、ここでは子どもが「学校外」で行う活動のなかで、実際に体を使って自然や人・物などの対象物に関わっていく「直接体験」ということでお話ししますね。動画やゲーム、オンラインなど疑似的、間接的に関わる体験ではない、という意味です。 体を使った直接体験とは、以下のようなものをいいます。 ・自然や屋外での遊びやスポーツ(自然体験) ・親や学校の先生以外の大人と交流すること(社会体験) ・ふだんの生活での家事の手伝いや掃除など(生活体験) ・塾や習い事(意欲と関心に基づく体験) そしてこれらの体験は、子どもの学力や非認知能力にポジティブな影響を与えることが国立青少年教育振興機構の調査でわかっています。 ――体験によって子どものどんな力が育まれるのでしょうか? 同調査によると、自然体験やお手伝いが多い子どもは「探究力」が身についているということがわかりました。 ――なぜさまざまな「体験」をしている子は「探究力」が高いのですか? 探究力とは、「自分で課題を見つけ、その解決方法を考えて情報を集めたり、分析したりして自分の考えをまとめていく力」です。現在の小中高校では「総合的な学習の時間」や「〇〇探究」といった時間が設けられていて、探究力を育む活動が重視されています。これは、探究学習が学習指導要領で述べられている「学びに向かう力」や「思考力、判断力、表現力」を育むと考えられているからです。