猛暑で酒米に異変、「暑さに強い新品種を」…農家の求めに応じ開発中の有望株「大育酒3844」
センターには暑さに強い食用米「みずかがみ」「きらみずき」を開発した実績があり、今回も暑くてもよく育つ稲を選抜。育成を重ねた末に見いだしたのが「大育酒3844」だ。
22、23年に吟吹雪と同じ条件で育てて比べると、倍近い収量があり、心白がよく発現した。農家による試験栽培を始めており、県の研究機関で酒を試験醸造すると、吟吹雪と似た成分の酒ができた。高温でも実りが多く、よい酒ができる有望株と位置づけ、25年には品種登録を申請し、26年から栽培を広げ、酒造りも始めていく計画という。
彦根地方気象台によると、県内の平均気温はこの100年で1・4度上昇。最高気温が35度以上の猛暑日も目立って増えた。気候変動でさらに暑くなる恐れもある。吉田さんは「いい品種をつくっても、今後も暑さに耐えられるか。技術対応が追いつかないかもしれない」と危機感をにじませる。
だが、滋賀酒を支える新たな酒米への期待は大きい。「酒蔵は『この土地の米でないと』とこだわりを持っている」と植田さん。「滋賀ならではの酒米は酒蔵が求めるだろうし、農家としても県独自の品種を育てたい」と大育酒3844を心待ちにしている。
読売新聞