「ビタミンCで風邪予防は意味なし」論文が示した“意外な事実”とは【医師が解説】
ビタミンCとは?
編集部: 今回紹介した研究テーマにもなったビタミンCについて教えてください。 久高先生: ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性の栄養素で、ビタミンCには酸化防止作用があり、体内でフリーラジカルによるダメージから細胞を守るのを助ける働きがあります。フリーラジカルとは、食べ物が体内でエネルギーに変わる時に形成される化合物で、大気中にもタバコの煙や大気汚染、太陽からの紫外線によって発生したフリーラジカルが存在し、人々は曝露を受けています。また、傷の治癒に必要なタンパク質である「コラーゲン」を生成するためにも、ビタミンCは必要です。さらに、ビタミンCは、植物性食品からの鉄の吸収を促す働きもあります。 ビタミンCは、柑橘類やピーマン、キウイフルーツに豊富に含まれています。あとは、ブロッコリー、イチゴ、トマトなどにも含有されています。
風邪予防に大事なことは?
編集部: 「ビタミンCは、風邪予防に効果がなかった」ということを示した論文について解説していただきましたが、風邪が流行りやすいシーズンを乗り切るために大事なことを教えてください。 久高先生: 手洗い、うがい、3密におけるマスク着用などの感染対策の基本は踏まえた上で、普段の生活の食事、運動、睡眠を整えることが何より大切です。緑黄色野菜を取り入れたバランスの良い食生活や適度な運動習慣をもち、十分に快適な睡眠を確保しましょう。ビタミンC摂取のような1つのことをするだけでは感染対策には不十分なので、包括的に生活習慣を整えて体調管理に努めましょう。
編集部まとめ
「風邪を予防する効果があると言われてきたビタミンCが、実は効果がなかった」ということが今回の記事でわかりました。手洗いやうがいなど、日常的にできる感染症予防をしっかりして、健康に過ごすように心がけましょう。 [この記事は、メディカルドック医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
監修医師:
久高 将太 先生(琉球大学病院内分泌代謝内科) 琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。