「打ち合わせに遅刻」あまりに残念な謝罪の一言 相手の立場に立ち、何を求めているかを考える
企業や著名人が、記者会見を開いて謝罪することがあります。しかし、その謝罪が炎上することも少なくありません。その謝罪を批判することは簡単ですが、どこに問題があったかを明確に説明できる人は、それほど多くありません。『企業実務』の記事を再構成し、人間の脳の働きと感情に関する著書が多数ある認知科学の研究者、川合伸幸さんが、何となくわかっているつもりで実は効果的ではない謝り方・効果的な謝罪の仕方について解説します。 【図表】電車遅延で遅刻!逆効果の謝罪例
■謝罪が逆効果になる理由 謝罪は事態を収めるために行われますが、かえって問題を大きくすることもあります。 公的な謝罪は「本当に悪いと思って謝罪しているように見えない」と感じられることが少なくありません。それどころか、その謝罪によって強い反発を招くことすらあります。 逆効果になる不適切な謝罪とは、いったいどのようなものでしょうか。例として、10年前のある謝罪会見を見てみましょう。 2014年に大手ハンバーガーショップの日本法人の社長が行った謝罪会見は、社会から痛烈な批判を受け、そのため業績が大幅に悪化し、大規模な店舗閉鎖という事態を招きました。
問題は、消費期限の切れた鶏肉でチキンナゲットを生産・販売していたことでした。 この会社は当初、問題の鶏肉が日本に出荷された証拠はないと主張し、該当商品購入者への返金を行いませんでした。しかし、問題の工場から仕入れていたことが発覚し、ようやく謝罪会見を行いました。 会見では、原材料の調達先の中国企業が、消費期限切れの鶏肉を取り扱っていたことが問題であったと説明し、社長は「騙されたと感じるし、非常に憤っている」「私たちも被害者だ」と述べました。
不適切な製品管理をしていた同社こそが社会に対する加害者ですが、仕入れ先の中国企業に対する被害者として、怒りを表したのです。 さらに、半年も経たないうちに、今度は同社のナゲットに異物混入が見つかり、怪我人まで出てしまいました。 そして、印象を決定的に悪くしたのは、「社長は出張中」として、謝罪会見を部下に押しつけたことです。これらの謝罪対応の失敗によって、同社は2年連続で赤字を計上しました。 ■謝罪が逆効果になる4つの要素