「打ち合わせに遅刻」あまりに残念な謝罪の一言 相手の立場に立ち、何を求めているかを考える
これらに加えて、「説明」が含まれていると、謝罪はさらに受け入れられやすくなります。この場合の「説明」とは、そのような事態に至った理由を伝えることです。弁解と似ていますが、自分の立場から話さないように気をつけることで、弁解にはなりません。 たとえば、「電車が遅れていました。大変申し訳ありません」「遅れて大変申し訳ありません。電車が遅れていました」は、同じことを述べていますが、前者は、受け取り方によっては電車の遅延のせいで遅れたという「弁解」に聞こえます。
それに対して後者は、まず遅れたことを先に謝罪し、それから電車の遅延という事情の説明をしています。 これだけでも、相手方の受ける印象は大きく変わります。 ■信頼を回復するには アメリカの研究によると、人間関係がギクシャクしたときに、謝罪してほしいと思う人はほとんどいないそうです。実際には、自分のために時間や労力を費やしてほしいと多くの人が考えています。 関係を修復するうえでもっとも大切なのは、そもそも人間関係において、いさかいがあるのは当たり前だと理解することです。言い争いを避けるのではなく、しっかり対処するほうが建設的な関係を再構築できます。そのために重要な5カ条が、アメリカの研究によって示されています。
・安易に謝って問題を収めようとしない ・自分が正しいという思い込みを捨てる ・相手の立場に立って考える ・相手の感情を攻撃と捉えない ・態度を変える意志があることを示す これらの根底にあるのは、「相手が自分に何を求めているのか」を丁寧に考えることです。 簡単な謝罪でその場を収めようとするのではなく、関係がギクシャクしたことを機会に、相手が自分に求めていることをよく考える。そして、場合によっては何度も補償や改善の意志を示すことで、むしろこれまで以上に相手から信頼される関係を築くことも可能です。
先に述べたハンバーガーショップの会社は、世間の信頼を大きく失いましたが、のちに顧客が求めていることに耳を傾け(相手の立場に立つ、攻撃と捉えない)、それまでのやり方を変えて(自分が正しいという考えを捨てる)、態度を変える意志があることを示しました(態度を変える意志の表明)。 その結果、顧客や従業員からの信頼を回復したのみならず、新メニューがヒットしたことも相まって、結果的に業績はV字回復を遂げたのです。