「打ち合わせに遅刻」あまりに残念な謝罪の一言 相手の立場に立ち、何を求めているかを考える
つまり、「謝ってほしいのではない」のです。「元に戻してほしい」のです。 筆者が行った脳波や心拍を測定した実験では、実験参加者に書いてもらった作文を、別の実験協力者が酷評するコメントを書いて怒らせました。半数の人は怒らせたままで、残りの半数には「こんなことを書いてすみません」と簡単な謝罪をつけました。 そうすると、攻撃性の指標である脳波などは怒りの値を示しませんでしたが、不快感の指標となる皮膚電気活動は上昇しました。
つまり、「すみません」という簡単な謝罪は、怒らせた人の攻撃性を抑えますが、不快感は解消しないのです。簡単な謝罪は、怒っている人ではなく、怒らせた人が攻撃されないためのもの、ということができます。 ■効果的な謝罪の要素3つ では、いったいどう謝罪すればよいのでしょうか。前述の子どもの実験では補償が高く評価されましたが、実は補償だけでは十分ではありません。少なくとも、次の3つを含む謝罪が効果的です。 ① 後悔
② 責任 ③ 補償 後悔は、「こんなことになって申し訳なく思います」という自責の念を示すことです。しかし、「そんなつもりではなかった」と続けて正当化を図っては、元も子もありません。 責任は、「私の不注意のせいです」と、自身に責任があることをはっきり認めることです。 そして、謝られる側がもっとも重視しているにもかかわらず、多くの謝罪に欠けているのが補償です。ここでいう補償とは、何も金銭的な補償に限りません。
たとえば、打ち合わせに遅刻した場合は「要点をまとめて話して、時間内に終わらせます」というように、具体的な解決策を示すのも補償のひとつです。可能であれば、今後の仕事で埋め合わせをすることを提案するのもよいでしょう。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 大事なのは、相手の立場に立って、どのような補償がなされれば相手の気が済むのかを考えて実践することです。