公取委 フリーランス法施行前に調査6割以上が“買いたたき”経験か
フリーランスと発注事業者との取引の適正化などを目的とした「フリーランス法」が、来月1日から施行されます。 フリーランス法が施行されると、発注事業者からフリーランスに対し、報酬を通常より著しく低くするいわゆる“買いたたき”や、あらかじめ定めた報酬を不当に減額することなどが禁止され、違反した業務発注者は行政処分の対象になるおそれもあります。 公正取引委員会は、法の施行を前にフリーランスがこうした“買いたたき”を受けた経験があるかなどの実態を調査しました。 調査の結果、報酬額について発注事業者側の80%近くが「十分に協議を行い決定した」と答えたのに対し、「十分に協議を行わず、一方的に決定されたことがある」や「十分に協議を行い決定されたことが無い」と答えたフリーランスの割合は、67.1%にのぼったということです。 また、価格転嫁について、「一部しか、または全く受け入れてもらえなかった」や、「価格転嫁をできなかった」と答えたフリーランスの割合は、62.5%でした。 業務内容別で見るとこうした“買いたたき”の割合は、俳優やモデル、美容師やエステなどの「生活関連サービス業、娯楽業」が73.9%、映像・音楽制作やウェブサイトの作成、ソフトウェア開発などの「情報通信業」が73.5%、「建設業」が72.7%と高くなっています。 回答したフリーランスからは、「交渉と言ってもほとんど忖度(そんたく)の形式上のもので、むちゃな価格を言ってくるなよと祈るのが実態」、「フリーランスになると人の足元をみた値踏みや条件、夜間休日返上の納期を求められることが多くなった」などの声があがったということです。 公正取引委員会は、こうした実態を踏まえ、問題事例の多い業種を抽出した上でその業種に対して今年度中に集中調査を行う方針です。