アメリカ大統領選の結果に「中国の銀行」が大慌て…帰ってきたトランプが低迷中国に加える「トドメの一撃」
企業の業績も悪化傾向に
不動産投資で高成長を実現する中国の経済成長のプロセスは限界を迎えている。2020年8月の不動産融資規制の実施で家計貯蓄の7割程度が向かったとされる不動産バブルが崩壊。住宅など資産価格の下落が止まらない。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 中国の不動産市場では、6,000万戸ものマンション在庫が存在するとの見方もある。国際通貨基金(IMF)は、今後4年間で未完成物件の工事完了など不動産問題の解決に、少なくとも約7兆元(約140兆円)の財政資金投入が必要と試算している。 不動産セクターだけでなく、バブルのおかげで稼げていた銀行セクターへの反動も大きい。2023年10~12月期は商業銀行の純金利マージン(資金調達の金利と貸し出しなどによる資金運用の利回りの差)は1.69%まで低下。 さらに2024年7~9月期は、四大国有銀行の一つである中国銀行の純金利マージンも1.41%だった。いずれも健全な銀行経営の維持に必要とされる利ザヤの水準(1.8%)を下回っている。 前編記事〈習近平が中国をどんどん縮小させていく…不動産バブル崩壊の後遺症でついに「中国の重要インフラ」が沈み始めた…!〉では、こうした収益性が低下傾向にある中国銀行セクターについて詳しく解説した。 不動産バブル崩壊や過剰生産能力の影響などで、今後は企業の業績も悪化傾向が続く可能性がある。
債務の焦げつきリスクが高まった
2024年1~8月の中国新車市場では値下げ率が17.4%に達した。中国自動車流通協会(CADA)は、自動車ディーラー全体で1,380億元(2兆7,600億円)の損失が発生したと発表した。 業績悪化で企業の財務内容は悪化し、信用リスクは上昇する。債務の焦げ付きリスクも高まる。将来的な不良債権の増加に備え、銀行は貸倒引当金を積み増さなければならない。中国でも貸し渋りや、貸しはがしも増えているとの見方もある。2024年7月、19年ぶりに人民元建ての融資残高は減少した。 中国商業銀行による金融仲介機能は低下傾向にあるとみられる。 事態の悪化を食い止めるため、本来であれば、中国政府は需要の創出を急ぐべきだ。しかし、今のところ、政府は国有企業などへの投資を増やして、供給力を増やす政策方針を堅持している。中国人民銀行は期間1年の資金供給制度も開始し、銀行セクターへの資金供給を増やす方針を示した。 政府から融資増加の要請が高まる中、政府の後ろ盾がある国有企業などへの融資選好度は高まりやすくなっているだろう。 それと対照的に、多くの銀行は、信用力の低いスタートアップや中小企業向けの貸し出しには慎重にならざるを得ない。 中国の金融情報企業の試算によると、2018年、中国で5万1302社の新興企業が設立された。IT先端分野に対する政府の締め付け、銀行の融資能力の低下などを要因に、2023年の企業設立件数は2018年から98%減だったようだ。