名古屋城木造天守「1、2階まで昇降機」導入 河村市長が定例会見
名古屋城木造天守「1、2階まで昇降機」導入 河村市長が定例会見
名古屋市の河村たかし市長は5日、市役所で定例記者会見に臨んだ。木造再建を目指す名古屋城天守閣について、民間から公募していた技術提案によって昇降機を導入すると明らかにした。ただし、「(昇降機で)上がるとしても下から1、2階のところ。本質的な部分は変更しない」として、上層部分には昇降機を付けずに江戸時代の状態を再現するとした。 【動画】名古屋・河村たかし市長が定例会見(2022年12月5日)
「本質部分を引き継ぐ気持ちは変わらない」
名古屋城天守閣は1610(慶長15)年に築城されたが、戦中の空襲で焼失。戦後の1959(昭和34)年に鉄骨鉄筋コンクリート造で再建された。 しかし、2015年ごろから老朽化や耐震性不足が指摘され、木造による建て替えが計画されていた。その際、車いすでも上層に上がれるよう、エレベーターを設置する要望が障害者団体などから出ていた。 河村市長はこれまで「史実に忠実な復元」を主張してエレベーター設置に難色を示し、この日も「天守の本質的部分を千年先の子どもたちに引き継いでいくという気持ちは変わっていない」などと述べた。
ほとんどエレベーター? 「問題は受け取る方の認識」
一方、市は今年4月から8月にかけ、天守の昇降技術に関する技術提案を民間から公募し、外部の評価員が審査していた。その結果がこの日の市議会経済水道委員会で報告され、船舶や航空機に導入実績のある垂直昇降設備をベースにした小型昇降機の技術開発提案が最優秀として示された。車いす利用者1人と介助者1人が乗れ、1階ごとに昇降するという。 河村市長は、この昇降機はエレベーターに近いのではないかとの質問に「問題は受け取る方の認識」とした上で、現在のコンクリート天守にも屋外エレベーターが2階近くにまで付いていることから、「(今回の木造復元での昇降機設置も)1、2階までだったら合理的配慮と十分言えるのではないか」と説明した。 また、将来的には「車いす自体の技術革新によって(昇降機なしで階段を)上がっていけるようになれば大変いいこと」などと述べた。 (関口威人/nameken)