なぜヤクルトは1勝1敗のタイに戻せたのか…冴えた“日本S仕様”の高津采配と高橋133球完封劇の理由
高代氏は、「外のボールを逆方向に打つことを意識したい場面だったろうが、“甘いコースに強いボールがきたら振るべし”の鉄則を忘れていなかった。宮城との19歳の経験の差が出たと思う」と指摘した。 そして高代氏が、もう一つ高津采配で注目したのが、9回の追加点の場面だ。高津監督は9回一死一塁で、前日“5冠エース”山本からタイムリーを放っている中村にバントのサインを出し、中村も一発で成功させた。 「展開を読み切った上での中村へのバントのサインだったと思う。おそらく宮城がそのまま投げていれば打たせたと思うが、相手は3番手のバルガスで、次打者はオスナ。外国人同士の対戦となるし、バルガスは失投の予想できる投手。得点圏に進めておき、その失投のワンチャンスに賭けたのだと思う。案の定、2球目にボールが高く浮き、オスナは、それを逆方向にたたきつけた。計算された追加点だったと思う」 二死二塁からオスナがライト前へ貴重なタイムリーを放ち高橋を援護した。 これで対戦成績は1勝1敗のタイに戻った。 お立ち台でアナウンサーが「今日の展開を見ると1勝以上に価値のある勝利に思えましたが?」とふると、高津監督は笑って「いえいえ。1勝1敗は、1勝1敗ですけど」と否定。そして「明日の移動日を挟んで東京に帰れますので、また違った展開で、違った球場で新たなゲームを迎えたいなと思います」と決意表明をした。 高代氏は、今後の展開について、こう見ている。 「今後の先発投手陣を考えると、山本、宮城を6、7戦に使えるオリックスが、まだ若干有利だと思う。ただDHが使えない東京ドームでオリックスがどう戦うか。ヤクルトは打てていない山田の復活がポイントとなる。日本シリーズは、2、3戦目を制したものがシリーズを制すると言われている。第3戦がどちらのチームにとっても勝負どころとなる」 神宮球場で明治神宮大会が開催されている関係で、ヤクルトは23日から東京ドームを仮の本拠地として3試合を戦う。23日の第3戦の先発はヤクルトが“ライアン”小川、オリックスは田島が予想されている。ヤクルトの雪辱でシリーズが面白くなってきた。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)