大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」＝2024年3月4日、東京都千代田区

　中年男性の約4割が肥満とされ、フィットネスクラブ市場が回復基調にある中、ダイエット関連市場がじわり拡大している。富士経済（東京）によると、脂肪の吸収抑制・燃焼系のダイエットサプリメントの市場規模（売上高）は、2015年に300億円弱だったのが、22年には500億円弱に拡大。コロナ禍を経た健康志向の高まりを背景に、健康食品大手や製薬企業は、サプリメントや内臓脂肪減少薬の新商品を投入するなどして、市場ニーズの取り込みを図っている。（時事通信経済部　金澤俊子） 【図解】ダイエットサプリの売上高

10年ぶりの新商品

ファンケルが10月16日から発売する「プレミアムカロリミット」＝2024年8月27日、東京都港区

　ファンケルは今月16日、主力ブランド「カロリミット」から10年ぶりに新商品のサプリメント「プレミアムカロリミット」（機能性表示食品）を発売する。既存商品が持つ糖と脂肪の吸収を抑える機能に加え、高めのBMI（肥満度を示す体格指数）を低下させ、便通を改善することが報告されている機能性関与成分を追加するなど、複数の機能を持たせた。ここ数年、サプリ市場で多機能商品が伸びているトレンドを捉えた。 　開発にあたっては、延べ1万4000人にニーズやデザインなどの調査を実施。特定保健用食品の緑茶飲料が売り上げを伸ばしている現状に、健康食品事業本部の五十嵐良美課長は「手軽さという点で、サプリは飲料にはかなわない」と指摘。その上で「高い機能性を求められるサプリを通じて、お客さまの声に徹底的に寄り添おうと思った」とし、ニーズが高い体重減少と、隠れた悩みの便通改善に着目したと明らかにした。 　カロリミットの誕生は2000年にさかのぼる。1980年代以降、りんごダイエットなど極端な食事制限が流行。同社は、ダイエット中でもおいしく食べられるという理念を掲げ、食事を取りながら糖や脂肪の吸収を抑えられるカロリミットを世に送り出した。14年には代謝が低下する大人世代向けに「大人のカロリミット」を発売。07年ごろから短期集中型のエクササイズ「ビリーズブートキャンプ」が流行し、代謝の認知度が高まったことなどが背景にあるという。