ダイエット関連市場、じわり拡大 中年男性の4割肥満、サプリ続々【けいざい百景】
ドリンク剤からシフト
「24時間戦えますか。」のキャッチコピーでおなじみの「リゲイン」。第一三共ヘルスケア（東京）は7月、内臓脂肪を減らすサプリメント「リゲインスリムマネージ」（機能性表示食品）を発売した。ドレッシングやめんつゆ、市販の弁当のタレやソースなどに含まれる果糖に注目。脂肪になりやすい果糖の吸収を抑えるポリフェノールの一種「エノテインB」を配合した。内臓脂肪と体重の減少をサポートし、BMIの改善に役立つという。「リゲイン」ブランドになじみがあり、中年太りが気になり始める40～50代が対象だ。 売り上げは発売直後から順調に伸び、8月末までの累計で当初計画の2．1倍に達した。40～50代の女性の割合が想定より高く、売り上げを押し上げたという。担当の野村卓さんは「メタボリックシンドロームや肥満など健康の阻害要因を排除し、人生100年時代を生きる人たちに寄り添っていきたい」と話す。 同社は4月、茶色の瓶に入った50ミリリットルのドリンク剤の出荷を終了した。働き方改革による生活習慣の変化や若者に人気のエナジードリンクの台頭などで、ドリンク剤市場が縮小傾向にあることを踏まえ、需要が見込める100ミリリットルサイズに絞った。ドリンク剤市場の行く末を見据え、19年にはブランド戦略を大きく転換。バブル期にドリンク剤を飲んでいた世代をターゲットに、体力低下や疲労回復に着目した錠剤タイプを発売するなど、「新生リゲイン」へのシフトを進めている。
日本初の内臓脂肪減少薬
一方、医薬品でも新商品が登場した。大正製薬（東京）は4月、成人向けの内臓脂肪減少薬「アライ」（要指導医薬品）を発売した。臨床試験を経て、内臓脂肪の減少を医薬品の効能・効果としてうたったものとしては日本初。有効成分オルリスタットが消化管での脂肪の吸収を抑え、約25％を便として排せつするという。へそ周りの腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、食事制限や運動を通じた生活習慣の改善に取り組んでいる人が対象になる。要指導医薬品のため、購入する際に薬剤師から対面で説明を受ける必要がある。 発売に至った背景には、高齢化に伴い生活習慣病が増え、医療費が増加している事情がある。08年に生活習慣病予防のためのメタボ健診が始まり、内臓脂肪に注目が集まったことも後押しになった。開発を担当したセルフメディケーション臨床開発部の藤田透グループマネージャーは「メタボやダイエットというキャッチーな文言を冠した商品が多い中、製薬会社として確たるエビデンスや安全性を重視し、何ができるかを考えた」と振り返る。 アライは発売以来、5カ月で年間売り上げ目標の8割を達成した。中年太りで内臓脂肪が蓄積しやすい40～60代男性の購入が4割を占めるという。藤田さんは「生活習慣病を予防すれば、がんや心疾患などの重篤な疾患発症リスクの低減につながる。アライが予防医療を支える一つのインフラになれば」と期待している。
