「3人に絞られた」忽然と消えた候補者たち “引きはがし工作”や“空手形人事”…水面下で何が?政治ジャーナリストが解説
投開票まで1週間を切った自民党総裁選は、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境大臣、高市早苗経済安保大臣による“三つ巴”の様相を呈してきた。候補者9人の陣営が激戦を繰り広げるなか、水面下で推薦人や支援議員の“引きはがし”が進められているという。政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説した。 【映像】総裁選をめぐる相関図(各派の動き解説) 総裁選出馬を断念した齋藤健経済産業大臣は、「今回の総裁選で、最も重要なことは刷新感だ。『チーム齋藤』で応援しよう」と、小泉氏支持を表明。その背景には「何かをささやかれたのでは」とのうわさもある。 青山氏は「複数の陣営が大臣などのポストをちらつかせて、切り崩し工作を行っているという情報もある。いわゆる“人事の空手形”だ」と指摘する。切り崩し工作の誘い文句は、「他の人になって良いの?」といったものだという。 高市氏は「裏金議員」13人が推薦人として付いているため、「『反省がない証拠だ』と野党が追及してくる」。保守色が強いことも、公明党との連立に影響が出るかもしれないとして、他陣営が「決選投票にはウチを残してくれ」と呼びかけるそうだ。他にも「小泉氏は外交が不安だ」「石破氏では安倍政治から転換して、全く違う政党になる」などの理由があるとして、「どれに一番説得力があるかの戦いだ」と解説した。 総裁選は、上位2人による決選投票になる可能性が高い。「菅義偉前総理は小泉氏支持だが、石破・高市になれば、石破氏に付くだろう。加藤勝信元官房長官も、小泉・石破に乗らざるを得ない」とした。 麻生派からは河野太郎デジタル大臣が出ている。河野氏は小泉氏と同じ神奈川県選出で政策も近いため、小泉氏につくのは「ほぼ間違いない」が、派閥トップの麻生太郎副総裁は「高市氏の影で動き始めている」そうだ。小林鷹之前経済安保大臣は、前回総裁選で高市氏の推薦人になったが、小林陣営には「若手の刷新感」から小泉氏に近い議員も多い。 岸田文雄総理の動きは「よくわからない」。最側近の木原誠二氏は小泉陣営に入ったが、「岸田氏は菅氏と仲が良くない。石破氏・高市氏へ行くかもしれない」。その上、岸田派からは林芳正官房長官と上川陽子外務大臣も出馬している。茂木敏充幹事長は「勝ち馬を見極めている状況だ」という。 こうした現状から、青山氏は「決選の戦いによって構図は変わる」とみている。「議員票を一番集めている小泉氏は、決選に残ると有利だが、石破・高市になる可能性が結構ある」。上川氏はリベラル寄りの政策のため、「信条は石破氏に近いと推測される。岸田派がまとまろうとした時、岸田総理のグリップが効くか」もポイントとして挙げた。 総裁選が終われば、党内人事争いになる。「菅氏は推薦人を加藤氏や石破氏に貸したが、これだけ小泉氏が怪しくなると、推薦人にも『最初から小泉氏にしろ』とプレッシャーをかけてくる。お金が配れない中で、効いてくるのがポスト。『悪いようにはしない』と説得する」とした。 (『ABEMA的ニュースショー』より)
ABEMA TIMES編集部