横浜FCの53歳FW三浦“カズ”が4630日ぶりにJ1ピッチに立つ可能性「PKのキッカーはカズ!」
「それぞれの立場や役割を通して、背中で引っ張るようにチームをすごく盛り上げてくれている。特にカズさんは若い選手たちと一緒に厳しいトレーニングをフルメニューでこなしていて、そういった姿が刺激になっている。情熱を失わないでいるところは、本当に大きいと思っています」 ルヴァンカップにおける最年長出場記録と最年長ゴール記録は、ともにDF土屋征夫(現東京23フットボールクラブ監督)がもっている。ヴァンフォーレ甲府でプレーした2017シーズンに前者で42歳10カ月0日、後者で42歳9カ月10日と最年長記録を立て続けに塗り替えた。 つまり先発でも途中出場でも、どのような形でもカズがサガン戦のピッチに立った瞬間に、前身のヤマザキナビスコカップ時代を含めた最年長出場記録が生まれる。ならば、最年長ゴール記録はどうか。オンライン取材では「もしPKを獲得したら、キッカーはカズさんに――」との質問も飛んだ。 「そこは間違いないです。みんな同じ意見だと思いますよ」 下平監督は笑顔を浮かべながら即答した。獲得したPKを託せる確率は、プレー時間が長いほど高くなる。リーグ戦からメンバーをターンオーバーさせて臨むサガン戦へ。途中出場ではなく先発する2トップの一角として、指揮官の青写真にカズが描かれていると言っていい。 50歳になった直後の2017年3月12日のザスパクサツ群馬戦で決めた決勝ゴールが、現時点で最後の“カズダンス”になっている。自分自身の軌跡に対して、カズは「出場機会が少ないとはいえ、ゴールできていないので」と忸怩たる思いを募らせ、捲土重来を期して努力を積み重ねてきた。 経験が少ない若手が多いがゆえに失速気味になっている横浜FCのなかで、勇気と自信を蘇らせる起爆剤になるだけではない。めぐってきたチャンスで確固たる結果を残し、リーグ戦でのポジション争いへ挑まんとする一人のストライカーとして、満を持してカズが敵地のピッチに立つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)