横浜FCの53歳FW三浦“カズ”が4630日ぶりにJ1ピッチに立つ可能性「PKのキッカーはカズ!」
「3バックに変えてから攻守両面にわたって、選手たちに躍動感が出てきた印象があります。選手たちが前向きに、積極的にトライしてくれているおかげであり、その結果として個々の特長やパワー、ストロングポイントが出るようになりました」 斉藤のJ1初ゴールなどで柏レイソルから今シーズン初の、J1の舞台に限れば13年ぶりとなる勝利をあげた第3節の直後には、下平監督も大きな手応えを感じていた。そして、レイソル戦から歴史をさかのぼっていった先に行き着く、レッズを1-0で下してJ1連覇の夢を断ち切った2007年12月1日のリーグ戦最終節が、現時点でカズがプレーした最後のJ1公式戦となっている。 「あのときは40歳でピッチに立ちましたよね。思っていてもなかなか(J1昇格を)達成できることじゃないですけど、それでもこの瞬間を信じて、ずっとプレーしてきました」 いつしか2007シーズンにプレーしたただ一人の現役選手に、なおかつ横浜FCにおける最古参選手になったカズは、無念の最下位に終わり、1年でJ2へ逆戻りした2007シーズンのJ1挑戦を思い出しながら、ようやく成就した昇格をこんな言葉とともに振り返ったことがある。 それでも不惑だった当時も、53歳になったいまも、胸中に抱き続ける思いは変わらない。 「試合に出てゴールを決めて、味方のゴールをアシストして、チームの勝利に貢献する。どんな状況になっても、自分のなかでの目標というものは変わりません。毎週のように試合に出たい、ベンチ入りメンバーに入りたいと思って毎日やってきたので、下を向くことはなかったですね」 トップ下を中村俊輔、レイソル時代にリーグMVPを獲得したレアンドロ・ドミンゲスらと争っていたシーズン始動時の立ち位置が、新システムのもとでは長く主戦場としてきた最前線へ再び変わった。一美と斉藤の新2トップや元日本代表の皆川佑介、阪南大から加入して2年目の草野侑己、昨シーズンまでの4年間で78ゴールをあげたイバと、2枠をめぐるチーム内のライバルは多い。 「リーグ戦になかなか絡めない状況を、カズさん自身も理解してくれていたし、ルヴァンカップではチャンスがめぐってくるんじゃないか、というところでおそらく照準を合わせていたと思うので。その意味ではコンディションもいいし、練習では相変わらず先頭に立って引っ張っています」 新型コロナウイルスへの感染予防対策として、ほぼすべての練習をメディアに対しても非公開で実施してきたなかでのカズの様子を下平監督は頼もしそうに明かした。そして、指揮官に続いてオンライン取材に応じた、まもなく35歳になる元日本代表DF伊野波雅彦はカズ、42歳の俊輔、40歳のキャプテン南雄太、39歳の松井大輔らのベテラン勢がチームに与える影響をこう語ってくれた。