相次ぐ米兵の性的暴行事件は、なぜ沖縄県に知らされなかったのか 「隠蔽」「形骸化」…指摘が浮き彫りにする、日米安保を取り巻く問題点
合同パトロールも問題が多い。事件などが起きた際に、米軍関係者の身柄は米側が拘束するとされているが、県警には「容認できない」(幹部)との見方が根強い。捜査関係者は「実現可能性はかなり低いだろう」と漏らす。 飲酒チェック強化については、米側は検問の様子を7月に公開したが、摘発件数などはつまびらかにしていない。 ▽日米安保に影響も 沖縄国際大の野添文彬教授(日本外交史)は、米側の再発防止策を批判し、警鐘を鳴らす。「事件を受けて何かしているとのアピールにしか見えず、内容が伴っていない。事件を巡る対応を放置して県民の不満が高まれば、日米安保体制を揺るがしかねない」 野添教授は、地域と米軍との信頼関係が損なわれることは、日米安保体制に波紋を広げ、南西諸島を中心に中国封じ込めを図る戦略にも影響しかねないとみる。 「米側は事件を軽視せず、危機感を持って対応するべきだ。日本政府は、日本側の捜査権を制限する日米地位協定の見直しや、運用の改善を求めるべきだ」と話した。