腸内環境を整えるには? 骨や筋肉を強化するのは? 効果的な食品を栄養士がアンサー
メンタルヘルスを改善する
食べ物と認知機能の健康が絡み合っていることを考えると、食べる物がメンタルヘルスに影響を与えるのは当然のこと。たとえば「栄養はホルモンや神経伝達物質の合成に直接的な役割を果たし、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンなどの気分を調節する化学物質に影響を与えます」と、ニューヨークで登録栄養士として活躍するローラ・イウさんは説明する。 特定のビタミンやミネラルが、ストレス、不安症、うつ病といったメンタルヘルスの問題に与える影響についても、多くの研究が行われている。二種類のオメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸)は、ストレスや不安症の症状を軽減し、神経細胞の機能と神経伝達物質の調節を助けることが明らかになっている。さらに、ときに食べ物は、味や食感、懐かしい感情などを通じて気分を高めることもある。「コンフォートフード(心が落ち着く食べ物)は “不健康” であることから悪いイメージがついていますが、たまにコンフォートフードを楽しむことは誰にとっても大切なことです」と、神経心理学者で『ザ・ニュー・ルールズ・オブ・アタッチメント』の著者であるジュディ・ホー博士は語る。 気分を高める食事を有意義なものにするために、ホー博士は食事の前にマインドフルな心の状態に切り替えるよう勧めている。「最初の二、三口を儀式のようにして、ゆっくり味わってみてください」と補足する博士。「ご褒美を楽しむという意思決定を自分で行い、この体験に感謝しましょう」 おすすめの食品: ・サーモン:ストレスや不安症、うつ病の管理に欠かせない健康的な脂肪とビタミンDの供給源であるサーモン。日光のビタミンと呼ばれるビタミンDが不足すると、うつ病や不安症のリスク増加につながることが分かっています、とイウさんは語る。また、健康的な脂肪は気分に関連する化学物質やホルモン機能に影響するそう。 ・オーツ麦:複合炭水化物のオーツ麦などの全粒穀物には、血糖値を調節して気分を安定させる働きがある。さらに、リラックスした気分とウェルネスを高める脳内化学物質のセロトニンの生成に寄与するビタミンB群も含んでいます、とホー博士は説明する。 ・ナッツとシード類:これらはオメガ3脂肪酸の供給源であり、コルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンの抑制に役立ちます、と説明するホー博士。オリーブオイルやアボカドもオメガ3脂肪酸が豊富。 ・ダークチョコレート:ダークチョコレートはミルクチョコレートよりも砂糖の含有量が少なく、エネルギーが乱高下する心配がない。さらに、ポジティブな感情を高める抗酸化物質も含まれています、とホー博士は話す。 ・乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルトは、うつ症状の軽減や予防に役立つ可能性がある。「最近の大規模研究で、カルシウムの摂取量が増えると、うつ病の症状が減少することが分かりました」とホー博士。「また、ビタミンDには、脳内のセロトニン値を上昇させることで気分を改善する働きが期待できます」