出血と苦痛、おびえながら流産処置の待機期間を過ごす女性 中絶制限法の米ジョージア州
(CNN) 米ジョージア州在住のエイブリー・デイビス・ベルさん(34)は10月初め、切望していた赤ちゃんを失う寸前であることを知った。 ベルさんは出血を繰り返した後、入院していた。ベルさんと医師たちは、流産を管理し、命に関わる感染症を防ぐために何が必要かを正確に把握していた。同時にベルさんがその治療をすぐに受けられない理由もわかっていた。 ジョージア州の中絶医療に関する制限法の影響が一瞬のうちに明らかになった。ベルさんが交通事故や虫垂破裂で出血していたら、医師はただちに助けることができただろう。2020年まで住んでいたマサチューセッツ州ボストンで流産していたら、医師はすぐに行動を起こせただろう。しかし、流産したのがジョージア州の病院だったため、ベルさんは手術を待たなければならなかった。 連邦最高裁が22年に下したドブス判決によって憲法上保護されていた中絶の権利が無効とされて以降、流産の取り扱いは難しくなり、より致命的な事態を招く場合もある。 流産の多くは医療介入なしに自宅で起こるが、ベルさんのようなケースは中絶に使われるのと同じ薬や手術法で治療できる。 米国の13州では、中絶が全面的またはほぼ全面的に禁止されている。ジョージア州など、中絶を妊娠の特定の時期に制限している州もいくつかある。ベルさんは当時、妊娠18週で、胎児が子宮外で生きるには早すぎたが、ジョージア州が期限として定める妊娠6週ははるかに過ぎていた。 医師はベルさんに、症状が悪化しない限り待つ必要があると告げた。ジョージア州で中絶をするには、医療上の緊急事態を除いて24時間待機する必要がある。 ベルさんは病院の医師を責めるのではなく、法律そのものに非があるとしている。 ジョージア州の妊産婦死亡率は長きにわたり米国内で最悪の水準にある。最近でも、同州では適切なタイミングで医療や合法的な中絶を受けられなかった妊婦が少なくとも2人死亡している。 このような問題に直面しているのはジョージア州だけではない。ジェンダー平等政策研究所(GEPI)の分析によると、21年に中絶禁止法を制定したテキサス州の妊産婦死亡率は19年から22年にかけて56%増加した。同州では今年に入り、流産に介入するのは「犯罪」だと病院から告げられた女性が死亡した。妊娠中の10代の女性は妊娠合併症の治療を受けようと救急室に3回通った末に死亡した。