出血と苦痛、おびえながら流産処置の待機期間を過ごす女性 中絶制限法の米ジョージア州
妊娠のトラブル
ベルさんと夫のジュリアンさんの間には21年に一人目の子どもとなる息子が生まれた。 今年7月、ベルさんは二人目を妊娠していることを知ったが、9月までに問題が起こり始めた。状態は安定していたが、出血がみられたのだ。医師は絨毛膜下血腫と診断した。これは子宮壁と羊膜嚢(のう)の間に出血を引き起こす病気だ。自然に治ることが多いが、ベルさんの場合は出血が続くまれなケースだったという。 医師はベルさんに安静を勧めた。ベルさんが外出したのは、期日前投票と定期的な通院のためだけだったという。 しかし10月初旬、ベルさんの出血は悪化。2週間で3回もの通院を余儀なくされた。 医師は最初、赤ちゃんはまだ元気だと告げたが、2度目の診察では、出血が止まらなければ胎児に負担がかかり、ベルさん自身の健康も危険にさらされる恐れがあると警告した。 ある時点でベルさんは皿ほどの大きさの血塊をトイレで排泄した。ベルさんはそれを容器に入れて医師たちに見せたという。 10月17日、3度目の通院で検査を受けたところ、医師から破水しているため妊娠を終わらせなければならないと告げられた。
待機期間と書類手続き
ベルさんは打ちひしがれた。妊娠18週では胎児が子宮の外で生きることはできないと分かっていたからだ。 ベルさんには出血を抑え、感染を防ぐために、子宮内容除去術と呼ばれる処置が必要だった。 しかし胎児にはまだ心拍があったため、処置は中絶になる。ジョージア州の法律では、妊娠6週を超える中絶は「妊婦の死亡や主要な身体機能の重大かつ不可逆的な損傷を防ぐために必要な場合」を除き、犯罪とされている。 ベルさんは医師が「ジョージア州にいるため、すぐに手術に移ることはできない」と言っていたと振り返る。 ジョージア州の24時間の待機期間はベルさんをおびえさせ、いら立たせた。 「私たちは宙ぶらりんの状態で待つしかなかった。胎児は死にかけていて、私はそのことを考えているその瞬間は安定していたが、10分後にはそうではなかったかもしれない。誰もこの中途半端な時間を延長すべきではない」(ベルさん) 法律はさらに、書類の記入を求めた。そこには、中絶の医学的リスクや出産できた場合の経済的支援の可能性などが詳しく書かれていた。 この中絶の同意書類には、科学的理由ではなく法律上の理由で書かれたようなくだらない言葉が並んでいたという。 その日の遅く、ベルさんの血液中のヘモグロビン濃度が危険水域に達するほど低下していることが検査で判明。命に対する危険がさらに高まっていることが分かった。この新たな兆候によってようやく医師はベルさんを助けることができた。 ベルさんは、最終的に必要な治療を受けることができたことに感謝していたが、最善の判断を下すことが許されなかったと感じられた医師たちに代わって怒りをあらわにしている。 「医師はこうした状況に対応できるよう大学卒業後10年以上にわたり教育を受けたにもかかわらず、法律が身動きをとらせなくした」とベルさん。医師たちが、医学的知識がなく、生物学の仕組みとは相いれない価値観に基づいた立場の年配男性が作り出したハードルを乗り越えなければならないと憤慨した。