<箱根駅伝>東大ランナーは補欠?問われる学生選抜の存在意義
正月の箱根駅伝に今回も「関東学生連合チーム」が参戦する。しかし、その“存在意義”はあるのだろうか? 今回はチームの指揮を執る中大・藤原正和監督が新たな選考方針を打ち出したこともあり、注目を集めていた東大生ランナーのメンバー漏れが濃厚。関東学生連合への賛否両論がうずまいている。 いわゆる「学連選抜」は予選会(敗退校)で個人成績が優秀な選手で構成されるチームで、第79回大会(2003年)から出場してきた。当初は関東学生連盟の名称で、オープン参加だった。出走は1校1名に限定されていたが、第81回大会から1校2名までが出走できるようになり、第83~89回大会までは正式参加が認められた。第80回大会(記念大会で日本学生連盟として参加)で5区の鐘ヶ江幸治(筑波大)が区間賞をさらい、最優秀選手に贈られる金栗四三杯を獲得。第84回大会(2008年)では青学大・原晋監督のもとで、総合4位に食い込むドラマを見せている。 しかし、近年はさほど話題を提供することもできず、淡々と出場を重ねている印象が強い。第90回大会は記念大会ということもあり、チームが結成されることなく、一時は消滅する噂もあったが、翌大会に復活して現在に至っている。 当初の目的は、「本戦での経験をチームに持ち帰って、自校の出場につなげてほしい」という願いが込められていた。チーム結成後の数年間は、確かに存在意義は小さくなかった。異なる大学の選手がタスキをつなげるのは新鮮で、エース級ランナーの出場は魅力的だったからだ。そして、明大、城西大、青学大、上武大など後に箱根常連校となる大学も、まずは学連選抜で箱根を経験したという事実もある。 ただし、出場するのは実力上位の4年生が多く、過去13大会で4年生(大学院生1名を含む)の出走は58名。全体の約45%を占めている。箱根を経験しても、それをほとんど生かせることなく卒業しているのだ。出場する大学もマンネリ化してきて、梶原有高(松蔭大)のように4年連続で出場した選手もいる。 また学連選抜で出場する選手のモチベーションも全体的には下降気味で、なかには出場を辞退する選手も出てきたのだ。ランナーたちの熱量は成績にも表れている。第85回大会(2009年)の総合9位を最後にシード圏内でのフィニッシュは一度もなく、16~19位に低迷することが多くなった。 ある主要区間を走った4年生ランナーが区間最下位に沈んだことがあり、その所属チームの監督は、「やっぱり気持ちですよね。苦しくなったときに、踏ん張ることができなかったのは、母校のタスキではなかったからだと思いますよ」という話をしていた。 すでに自らのチームで箱根を経験して、チームとして箱根を目指したランナーにとって、学連選抜での出場は喜ばしいこととはいえない。予選会で敗退して、チームが新たな目標に向けて動き出すなかで、自分だけが箱根に向かうことはメンタル的にも難しい。合同合宿などで顔を合わせるとはいえ、大学単位で出場する駅伝とは雰囲気がまるで違ってくる。タスキの重みが違うのだ。