車いす利用者がヨットを楽しむ これまでにない特別な体験を
テレQ(TVQ九州放送)
車いすを利用する人が行きたい場所に行けるようNPOなどのサポートが広がっています。今回取材したのはまだ実証実験なのですが、車いすでのヨット体験。利用者は何を感じたのでしょうか。 福岡市在住の島田乃梨子さん。島田さんは生まれつきの脳性まひで手足の機能が大きく制限されていて、車椅子で日常生活を送っています。それでも年に1~2回東京などに遠出をするほどの旅行好き。この日はこれまでにない体験をするといいます。 島田さんが今回乗るのは海に浮かぶヨット。陸上のように固定されているわけではないので、ヨットに乗り込むだけでも、簡単ではありません。担当のクルーは、揺れるヨットの上で島田さんを抱えながら狭いデッキを移動。 セーリングサービスフクオカ 竹下フミオ代表兼船長 「普段病院の床しか歩かない介助者が想定していないところ。これを何回も何回も繰り返した」 ヨット体験を企画したセーリングサービスフクオカの竹下さん。竹下さんは過去に コロナの最前線で働く人や不登校の子どもにヨット体験を楽しんでもらう活動をしていました。そして、車いすに乗る島田さんの介助をするのがNPOのスタッフで、福岡県で「旅行業」の登録をしていて介護が必要な人の外出や旅行に付き添い、サポートをしています。 NPOあすも特注旅行班 大橋日出男代表理事 「ぜひ一緒にやりたいという話があり、それなら私も取り組んでみたいと思った」 「予想以上に難しかった」 また、大橋さんは車いす利用者のヨット体験の活動費に充てるため、福岡市から30万円の助成を受けました。 乗船を終え、いよいよ出港。今回のヨット体験は福岡市西区の今津マリーナを出港し百道浜沖へ。その後、能古島に上陸し休憩をして、今津マリーナへ帰港するというルートです。波で大きく揺れるため、島田さんにとっては未知の体験。体のバランスを取ることは容易ではありませんが笑顔をみせます。 島田乃梨子さん 「この角度から(市内を)見るということがしたことないのでそれだけでもすごいうれしい」 このヨット体験、ただ乗船するだけではありません。 セーリングサービスフクオカ 竹下フミオ代表兼船長 「引いたり押したり、ちょっと押してみて」 「そうそうそう」 今回、ヨットに試乗した福岡市に住む島田さん。車いすに乗って日常生活を送っていて、ヨット体験は初めてです。海からの景色を見て笑顔の島田さん。ただ、ヨット体験はこれだけではありません。 セーリングサービスフクオカ 竹下フミオ代表兼船長 「ちょっと操船してもらいますんで」 なんとヨットの操縦体験をするというのです。生まれつき握力がほとんどないという島田さんですが、うまく操縦できるのでしょうか。 セーリングサービスフクオカ 竹下フミオ代表兼船長 「センスがある」 「来年のシーズンはうちでバイトしてもらおうかと思う」 島田乃梨子さん 「アルバイト先が決まりました」 能古島へ到着しました。今度は横からの乗り降りです。竹下さんは安全な乗り降りにこだわり、ボートの側面を改造したといいます。 セーリングサービスフクオカ 竹下フミオ代表兼船長 「こうやって外れます」 「1、2」 無事上陸。 島田乃梨子さん 「飛行機とか電車とかだとある程度サービスの枠組みがあって利用しやすいが、今回ヨットというなかなかない経験」 この日、竹下さんが島田さんにどうしても見てもらいたかったという景色がありました。 ヨットから見る、海に沈む夕日です。 島田乃梨子さん 「きれいだった。一面にばーっと光が当たっている感じが」 車いす利用者のヨット体験。これまで実証実験を重ねていて、来年以降サービスとして提供を開始する予定だといいます。 島田乃梨子さん 「新しい新鮮な体験だった。アトラクションみたい」
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